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第10話 深夜の逢瀬 4/10

「練習、しているんだよね?」 「はい」 靴を僕のすぐ横に置くと一段低いところに伊織さんが膝をついた。 「足、出して」 「いえ、自分で履けます」 慌てて立ち上がると靴を履いた。 「面白くないねぇ」 笑いながら立ち上がって、「コツさえ掴めば出来ると思うよ」と言って階段を下まで降りていった。そのまま自分の部屋に入るのだろうとそこから見送っていると一番下で振り返って、「降りてきて」と言った。 「あ、あの……1人で大丈夫です」 「そう? でも、一度降りるところを見せて」 「………」 降りるもなにも満足に降りられないのだから……。 「おいで」 女の子を呼ぶように言われて頬が赤くなるのを感じた。ここが薄暗くてよかった。 ゆっくりと、ぎこちなく足元を確認しながら降りると、「それじゃ鷹は満足しないだろうね」と苦笑いした。 「おいで、俺が教えてあげる」 「え、でも……」 ヒールの靴なんて伊織さんは履いた事はないだろう。だから降り方のコツなんて分からないはずだ。 「俺と鷹はね素養として歩き方もお辞儀の仕方もマスターしているんだよ。もちろんダンスもそうだ。ヒールは履いたことないけど今よりはきちんと降りられるようにしてあげられると思うよ」 靴を脱ぐように言われて階段を上まで上がる。一番上に再び靴を履いて立つと、伊織さんが2段ほど下に立った。

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