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第13話 再確認 2/13
その怒りに満ちた大声にびっくりして肩を震わせる。
「さ、行きますよ」
どうしよう……。
困ったことになってしまった。
絶対にばれてしまう。車に無理やりに乗せられて、屋敷を後にした。
どうしよう、どうしよう。
頭の中はそればっかりでほかの事は考えられない。
ドレスは先日出来上がっていた。伊織さんが注文していたらしくて、クリーム色の光沢のあるドレープたっぷりの可愛らしいドレスだった。
今夜のパーティーは年に一度行われる本社の社員向けの謝恩パーティー。普段がんばっている社員を労うために行われるらしい。
そこに僕を連れて行くという事は……まだ公ではないけれど僕を婚約者として紹介するということらしい。
ここから婚約者としての行事は目白押しだ。
海外研修への同行、結納、衣装合わせ……。
嫌われるどころか……キスされてしまった。
あれは、雰囲気に流されてしたことかもしれない。
恋人同士で乗るのが有名な観覧車。
僕が乗りたくないって言ったから乗りはしなかったけど「乗ろう」と誘われた。
僕は……嬉しいと……思ってしまった。
見えるかもしれないと言われた時も。
伊織さんはとても素敵な人だ。優しいし格好いいし……。
憧れとは違う……この感情に流されてはいけないと心にブレーキをかける。
僕は撫子の身代わりで、嫌われて帰らければならないのだから。
気が付くと美容室に到着していた。
「顔色が悪いですけど……大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃない」
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