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第13話 再確認 4/13

「ドレスは上に届いています。あの色にはもう少し明るい髪色でトップにボリュームを持たせたほうがいいかもしれませんね……」 「あ、あの社長は他に何か言っていませんでしたか?」 「とても楽しそうに出来上がりを楽しみにしていると言っていましたよ」 「それだけ?」 それだけじゃ真意はわからない。僕が男だってばれているのかさえ。 「それ以外は伺っておりません」 「……そうですか……」 「どうしますか? 長い方がいいのならドレスに合わせてアップにして……」 「……お任せします……」 ウィッグがどうこうよりも性別がばれているのかもしれないという不安のほうが大きくてため息ばかり付いていた。 ドレスは自分で着替えて、メイクはしてもらった。 ばれたら……ばれたらどうなるんだろう。 ばれていたとして、どうして、伊織さんは僕にキスをしたんだろう。 僕が男だって知っていたら……。どうして。 僕をどうするだろう。 父さんや母さん、会社も……。 今すぐ……今すぐここから逃げ出したい。 今なら伊地知さんもいない。 膝丈のドレス。とても上品な……。 鏡で見ても女の子にしか見えなかった。 店の奥の特別ルームで僕は伊地知さんが迎えに来るのを待っていた。 今なら……今なら出て行けるかも。 そっと部屋を出た。階段を降りるとたくさんのスタッフが忙しそうに働いていた。 「どちらへ?」 さっきまで僕についていた店長が慌てた様子で駆け寄ってきた。鏡の多い美容室内だからどこかから見えていたのだろう。

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