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第15話 約束の場所 4/15
覆いかぶさるように伊織さんは屈んで僕にキスをする。抱きついたままだった両手。その手でシャツの背中を握り締めた。
「……んっ……は……」
甘く痺れるような感覚と胸からあふれ出す熱が身体から力を奪っていく。
キスだけだというのに。
「隼人」
唇を離して名前を呼ぶとチュッと音を立ててもう一度口付けてから伊織さんは僕の横に座った。
「覚悟は出来てる?」
伊織さんは笑顔でそう言うと、「もう帰して上げられないよ?」と言った。
「………どうして?」
その理由をまだ聞いてない。
熱い口付けでそれは伝わったけど、まだ僕は聞いてない。
「捕まえたから」
「僕……女の子じゃないよ」
「分かってるよ」
「いつから分かってたの?」
「君が屋敷に来た時から」
「……それって初めて会った時ですよね?」
「ん~……」
伊織さんは苦笑いで「君が寝てた時に……つい」と……。
「ついって、ついって何? 何したのっ」
「ああ……いや、写真を見て気に入っていたんだよ。全部用意したのは俺だし……寝ている君が可愛くて……寝相がよくなかったから直したときに……」
「直した時に?」
「抱き上げてあれって思ったんだよね。で……スカートをちょっとだけ……」
僕は目を見開いて伊織さんを見つめた。伊織さんは両手を顔の前に合わせて「ごめんね」と謝った。
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