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第16話 囚われる 4/16
「嘘でも寂しかったって言ってくれればいいのに」
ふふっと笑って階段を上がっていく。
「寝相悪いよね。それに触っても起きなかったし」
「そ、それはっ疲れていたから……」
初めて来た時のことを言われて慌てて訂正するが、「部屋の鍵。全部俺が持ってる」と言われた。
「えっ、な、何でっ」
「だって、ここ俺の家だし」
言いながら階段を上がっていく。
「じゃあ、初めてきた時だけじゃくて……」
「それはどうかなぁ」
楽しそうに笑って階段を上がっていく。
2階を通り過ぎて3階に伊織さんは上がっていく。そこから上に僕は上がった事が無い。
2階で足が止まった僕の横まで伊織さんは降りてきた。
「この階は来客用に使っているから今までここを使ってもらったけど、今日からは上においで」
手を引かれた。
長い指が僕と手を繋いだ。それだけで体温が上がった気がする。
「いお……」
「俺の花嫁」
グッと引っ張られるようにして階段を上がる。強引に引かれるがまま連れて行かれる。
廊下の一番奥の扉を開けて中に入れられた。壁に付けられた電気のスイッチを入れられて眩しさに目を柴だたせている間に抱きかかえ上げられた。
肩と膝の下に腕を入れられたいわゆるお姫様抱っこ状態にびっくりして、暴れた。
「落とすよ?」
「あ、危ない。降ろしてっ」
「駄目ー」
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