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金平糖2 優等生からの指南
「平ってさぁー~~あの磯部とダチだったよなぁ?」
「え?」
「磯部リョーマ。磯部リョーマとだよ」
洸が松本平 に聞く。
場所は、放課後のサッカー部の部室なのはいうまでもないだろう。
「ん? あ、ついに発展した?」
「ちょっと、待て。え? ついにってのはなんだ? ついに、ってのは」
にこやかに洸に言い返してきた平に、待ての手を差し出す。
洸にとって【金平糖】の意味も、小松に渡したリョーマの感情の意味も分からないのだが。
しかし、平には思い当たる節があるのは明らかだった。嫌な笑みを浮かべている様子に、洸には確信に近いものを感じている。彼も、アレに関与なり手助け成りと、なんやかんやと接点があるのだと。
「ついにって聞いて、ひょっとしてとかはないの?」
「ない。あったら聞いてなんかねぇんだけど? 教えろ」
「教えて貰うって態度じゃなくて草生えちゃうね」
平は練習着に着替え終えたが、洸の手は止まったままで着替えどころなんかではない。
「ケチケチしてんじゃねぇよ。早く、教えろよ」
「もぉう。仕方ないなぁ」
松本平は正真正銘のイケメンの部類に入る。
それが証拠に、ファンクラブが他校にもある程だ。
両親、兄姉妹弟も色んなスポーツにおける選手であり、小さい頃からテレビにも映っていたことも要因といえる。
今はサッカーに落ち着いた彼だが、昔から色んなジャンルのスポーツを手掛けていた。
だからなのか、彼女だ出来たや、付き合っているという青春 の話題もない。
多くの取り巻きもいる彼なのだが。
ちゅ。
「え?」
部室内に居るのは平と洸の2人きり。
いつもいる取り巻きがいないのは、この時間だけでもある。
「何? ぇ?」
日に焼けにくく白い肌の平は赤い髪を肩まで伸ばしている。
その永い髪が、吊り上がり長い睫毛をし整った顔が洸の視界を塞いだ。
何か濡れたようなものが額に押しつけられた。とても柔らかいものが。
戸惑う洸を他所に、その柔らかいものが、
ちゅ。
ちゅ。
目尻と、頬に押し当てられる。
降りて来ているといった方がいいのかもしれない。
「たぃ――……」
「黙ってろ。教えてやるからさ」
「ぇ」
ちゅぅ。
「!?」
唇へと、その柔らかいものが押し当てられた。
ここでようやく洸も抵抗をしょうとしたのだが――もう遅いのだ。
平が洸の足首を引っ掻け身体を倒して、そのまま組み敷くと見下ろす格好となった。
見下ろされる側の洸にとってみれば、大混乱だ。
しかも、格好も半端に裸に近い。
179センチの男に組み敷かれる174センチの被害者は――男であり、仲間 。
男が男に、よりにもよって同じ部員である将来有望株に。
(あ。こいつを引っ掻いたりしたらっ)
はたと彼のことを思ってしまったことによってしたいと思う抵抗も出来ない。
情けなくも葛藤する洸に平もはにかみ、
れろ。
口腔内に舌を挿入 れた。
「!?」
洸も涙目で、行く当てのない手をワキワキと宙を掻いた。
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