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金平糖4 松本家の長男と長女が来た
「円 。もう、平の奴は行ったのか?」
「ええ。行きましたよ、角 」
松本家は2男2女である。
そして、長男と長女は双子。
松本角と松本円。高校2年生で、平とは年子だ。
弟である平と同じサッカー部に所属をしている。
角は将来有望な選手であり、マネージャーをしている円もまた、ボカロPをしていて名曲を生み出し、松本家では稀有な存在であり、父親からの圧もなく自由気ままに高校生活を送っていた。
2人は180センチの華奢な体躯でもあり、並んで歩けば黄色い悲鳴がどこからか上がるほどだ。
円の顔は平と同じく母親似で切れ長で、睫毛が長い目が特徴的だ。
髪は平よりも短く襟足までで、左端の髪の毛を上で縛っている。
一方の角は父親似で細く切れ長な目は眠そうとさえ見え、左目の鼻先と右の口許に小さなほくろがある。髪は短く切られていて毎朝2時間とセットされ、きれいに整っていた。
眉間にはいつも深い溝が刻まれているのは癖である。
双子でも二卵性であるため全く似ていない円と角の兄姉。
「あの馬鹿も、何か、こー~~かけられるものを早く見つけて欲しいもんだな。円のボカロでもやらせてや――……」
「やらせてみたけど才能なんかなかったよ。ヒドイもんでしたよ」
「へぇ。円が言うのならよっぽどなんだろう。……聴けるか?」
「はい。まぁ、それは自宅に帰ってからでもいいでしょう?」
「ああ。頼む」
「はい」
肩を並べて歩いていると、
「円マネ! はよっす!」
「角センパイ! 今日も寒いですねぇ」
同じサッカー部の部室へと向かう部員たちと出会った。
和気藹々と向かい、先に着いたのは、
「? ……あれ? たい――……っつ!?」
円が部室を開けて目にしたのは、弟である平の背中とだらんと伸びた長い足。
荒く息を吐く平と粘着した音が鳴り響く様子に。
「!?」
ばったん! と勢いよく部室のドアを閉めた。
閉めた指先が、カタカタと震え表情も真っ青となってしまう。
(ぃ、今。私は何を見たのかな?)
きょんと、冷静に円の頭の中が唸る。
一瞬でも見て、聞いてしまったものの音からなる状況を考えている。
だが、考えは最悪で最低なラインしか――【思いつかない】まま否定をしたいのだが、組み敷かれた誰かの足を見てしまった以上は、否定など出来るはずもない。
この間、わずか――1分未満の脳内検索。
「円。どうかしたのか? 入らないのか? ……開いているか??」
「! っそ、……そうなのよ! うん。うんうん! 開いてないんだよっ、角!」
「!? っそ、そうなのか? 平の奴め、来ていないのか????」とため息を吐く角に、一緒に来た部員たちが、
「「「鍵を取って来ますっっっ‼」」」
来た道をくるりと職員室へと向かって行ったのを円も確認すると。
「角! 行くよっ!」
鬼の形相の円に、「っへ?」と角も驚いたが、ドアを勢いよく開けたことに、さらに驚いたのだった。
同時に、
「開いてんじゃん」
呆れた口調を漏らしつつも、訳も分からずに円の背中を追ったのだが、すぐに理由を知る羽目になるのだった。
「鍵! 閉めといてよっ!」
「!? ぁ、ああ?」
円の剣幕に角も命令に従うのだった。
「円。どういうことだ?」
「それは!」と円が立ち止まって仁王立ちとなる背中に角の顔も頭部に「わ゛っ」などと当たってしまう。
「平ぁあ! 神聖な部室でナニをしてんだっ! お前って奴は……」
部室内に轟く円の罵声に、角もようやくここで状況を目の当たりにした。
「は?」
腰をゆっくりと動かす弟と垂れる足の鈍い動きの反応。
一歩と足が後ろに下がってしまう。
「こ、……れは? 円????」
「SEXだよ」
「っせ!?」
「強姦 かもよ」
「っれ!?」
言葉も失う角を他所に、円が息を飲み込むと回り込み平たちを正面から見据えた。
明らかに平の茎の先は相手の孔の中である。
「ぃ、れれれてて――……」
ガクンと膝が折れ円の腰が床に落ちた。
「っま、まる!?」と角も回り込んだ。
弟が男の孔に挿入している様子を目の当たりにした瞬間。
「先っぽしか挿入ってないじゃないか」
吹っ切れたように声をかけた。
「先っぽだけって、約束したから……ね」
「中出しはした、ようだな。精液 が垂れてんじゃねぇか」
「兄貴と姉貴。なんで、……っふ、いるの?」
孔に挿入れたままの苦しそうな平が2人に聞いた。
しかし、円からの反応はない。
「部活に来たからに決まってんだろうがっ」
バッコン! と平の頭部を後部で叩いた。
「だから。もう満足したことにして抜け、愚弟」
「あと一回。いい?」
「ダメだ! 円も腰を抜かしてんだからなっ!」
「分かったよ」と平は孔から茎を、名残り惜しそうに抜いた。
すると。
ごぽ、ごぽぽ――……
「マーキングの量が、若さ故ってやつだな。こりゃあ」
頭を掻く角に、
「どうしてそんなにっ、普通に話しているのよ! 角は!」
円が声を荒げて叫んだ。
「こんなのって、ありえない! 犯罪行為よっ!」
「落ち着けって円」
「無理よ! 無理だわっ!」
癇癪を起す様子の円を横目に、
「あれ? そいつって……船橋じゃあ……」
見る見ると角の目がに開かれていく。
「うん。同学年の船橋洸」
伸びきっている洸をベンチに横たえた。
全裸で至る肌の箇所に平のキスマークが散らされているのが見える。
「友達なんかじゃないよ。今日まで会話なんかしたこともなかったし」
平の言葉に角も、顔が青ざめ、涙と鼻水と涎で汚れている洸の顔を見た。
苦渋の表情のままの様子に、
「どうしてこうなった?!」
思わず、声も裏替えってしまったが平に確認をする。
「腹が立って――……思わず、その……こうなった」
部室にある4脚あるベンチの1つに角も腰をどしん! と据えた。
「馬鹿か‼ 若気の至りって話しなんかじゃなかったっ!」
頭を抱えた角に円が悲痛に聞く。
「どうするの? このこと警察に――……」
この言葉に「いいや。しない、してどうなる。平は愚弟だが家族だ。しかし、船橋 はどうだ? ソイツの立場にもなって考えろよ、円よぉう」と困惑の口調で言い返した。
それに円も洸へと目をやる。
(っひゃアああ! 真っ裸状態だよぉうぅうう!)
顔には出さないのだが、兄弟以外の茎を視たことのない円は、頭が煮え切れそうなほどに沸騰をしている。
肌には愚弟である平のキスマーク、下半身にも同様に愚弟の平の精液で汚れていた。
洸自身の茎は太く長く、皮もずる剥けている状態が、丸見えなのである。
「平。その子に服を着せてあげなよ。まだ2月よ、風邪引かれたらどうするのよ」
平静を装って平に円が言う。
「うん。そうだね、風邪引いたらなかったことにされちゃうかもしんないしね」
苦笑交じりに平も言い返して、洸の着衣をさせていく。
「ああ。なかったことにされんじゃねぇの?! ひょっとしたら!」
にこやかに角が拳を握った。
「案外。忘れるかもな!」
角の言葉に円と平の目が細められる。
「「それはないでしょう」」
声も合わさって角へと切り返す。
「夢でも見たとか思うオチに」
「そうなったら、僕は泣くし。もう1回、拝み倒すよ」
「懲りろよっ」
「なんでさ!」
「相手は男! しかも、同じサッカー部員! 問題しかねぇわ!」
「僕は愛してるんだよ!」
平の告白に「「!?」」円と角の表情が真逆にも驚きの色に変わった。
そして、同時に声を合わせて叱咤する。
「「強姦はねぇわ」」
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