5 / 11

金平糖5 困惑と背負わされる疑問

 松本家の兄姉と弟が睨み合う。 「それで? どうすんだよ、この状況」 「そうよ。こんな強姦行為なんかしてっ!」  ぐったりと横たわったままの洸を見据えて平に詰め寄る。 「このまま部室にいられないぞ」 「そうよ。もう、……鍵がないもの。戻って来るわ、あの子たちも」  明らかに違和感のある状態とは、誰が見ても思うだろう。  それほどまでに洸はぐったりと顔面蒼白だ。  した行為の代償は大きいものだと、ここで平も舌打ちをする。  考えなしの行いは、もうしないでおこうと心に決めた。  しかし、反省を今したところで状況の解決には至らない。 「「どうする気なのよ」」 「……どう、って」と平も眉を顰めた。  少し唸って、 「洸の友達に、松重小松ってのがいて。そいつにはアトリエで暮らしている筈だ」  リョーマから聞いていた小松の家庭環境を思い出すのだった。 「1人で」  平の言葉に円と角が見つめ合う。  そして、苦笑いを平へと向けた。 「「今、どこにいるんだ? その男は」」  ◆ 「どうして兄貴が背負うんだよ」  伸びてしまっている洸を背負う角に、 「僕が背負ったっていいんだよ!?」  納得のいかない平が角に言うのだが、 「馬鹿ね。角は、サッカー部の副主将なのよ、誰も怪しんだり、意味深に取られるなんてことないわ。でも、お前はどう? 平。同学年の話しかけたりしたことのない彼を背負ってなんかいたら、……後々、面倒なことに巻き込まれるのは、あの子でしょう? 少しは、先のことまで頭をきちんとお使いなさいよ」  平の何の考えもしていない行動と、言葉に円がキツくも叱る口ぶりで言う。 「兄貴だって色んな噂されてるし、疑わられてもいるって知ってて言ってんの? 姉貴ってば」  色んな意味で目立つ松本の兄姉。それと平も同様に目立ち、ファンクラブもある始末だ。他校にも。 「残念だけど、変な追っかけはいないんだよ、角にはね」 「っそ、……それはっ!」  言い返す言葉に詰まる平に「ぅ、ンんん」と洸の声が聞こえた。  放課後のいつもより静かな廊下でだ。 「!? ひ、洸っ」 「ン、にゃ? ……????」目を覚ました洸は寝ぼけていて、何故、背負われているのか分からないのか、回転しない頭のせいなのか反応をしない。しかし、それもすぐに変わる。 「船橋、起きたのか」  洸を背負う角が覚醒した平に声をかけた。  そのことによって。 「!? っせ、せンんんっぱ!?」  彼は完全に目を覚ますのだった。 「ぇ、……えぇええ?! ぉおおオレっ、おおおぉおお、オレ!?」  恥ずかしさと困惑に身体を身震いするとである。  ビキぃいい‼ 「っだぁああア‼」  腰が、孔が悲鳴を上げた。  洸の顔が角の肩に埋められた。 「っひ、……っぎ。ぅ、……あァあ゛っ」 「愚弟が悪かったな。痛むか」  低い口調で心配する言葉を洸に向ける角に洸も、 「ぃ゛だぃ゛でず」  短くも悲鳴に近い声を吐いた。 「平。お前は暫くお触りなしよ、いいわね」 「っな、なんでだよ!」 「これが女性相手だったら、大怪我(モンダイ)よ! 責任を取らなきゃいけなかったし、親の顔に泥を塗ったのと同じことっ! 恥を知りなさいっ、拗らせDT!」  角の後ろで肩を並べて歩く円と平が言い合う。  一方的な円の言葉に平も口をへの字にさせた。 「責任をとるさ! その覚悟で嵌めたんだ!」  平が覚悟の上での行為だったことを円に吠えた。  しかし、そんな平の叫びは円からは冷ややかに見られるのだった。 「無理矢理シた男に惚れるのは稀よ。お前はマジで大馬鹿だなっ!」  立ち止まった円が平の胸ぐらを掴んで言い放つ。  熱くなっている円を視ることもせず、 「後にしろ、円。今はこっちを送るのが先だろう」  すたすたと美術部へと直行する。 「……そうだった! こんな馬鹿を罵る場合なんかじゃないねっ!」  円は吐き捨てて手を胸ぐらから解き、小走りに角へと向かう。  立ち止まったままの平だったが。 「くっそったれ!」  円と同様に角に向かい勢いよく走る。  ◆  起きた洸の頭は依然と大混乱中だ。 (何が、どうなって、副主将(ノーパン)に背負われてんの!?)  そして、問題なのは。 (ぁ、孔が、……切れてないかっ?? めっちゃくちゃ(っいぃ)ってぇええっ!)  平の茎を無理くりと挿入されてしまった――孔である。  違和感は孔ばかりではなく、その奥もだ。 (お腹が、……たぽたぽする。なんだ? しかも熱いっつぅか、……漏れそうって。まじでなんなんだよ!?)  平が中出ししてしまった精液が腸を圧迫する。  他人の熱に、その違和感に。 (気持ち、(ワリ)ぃい~~っ)  マーキングされたことを覚えていない洸は悶々とし。  その尻を持ち支える角の手も、溢れる平の精液で濡れて汚れていた。

ともだちにシェアしよう!