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金平糖5 困惑と背負わされる疑問
松本家の兄姉と弟が睨み合う。
「それで? どうすんだよ、この状況」
「そうよ。こんな強姦行為なんかしてっ!」
ぐったりと横たわったままの洸を見据えて平に詰め寄る。
「このまま部室にいられないぞ」
「そうよ。もう、……鍵がないもの。戻って来るわ、あの子たちも」
明らかに違和感のある状態とは、誰が見ても思うだろう。
それほどまでに洸はぐったりと顔面蒼白だ。
した行為の代償は大きいものだと、ここで平も舌打ちをする。
考えなしの行いは、もうしないでおこうと心に決めた。
しかし、反省を今したところで状況の解決には至らない。
「「どうする気なのよ」」
「……どう、って」と平も眉を顰めた。
少し唸って、
「洸の友達に、松重小松ってのがいて。そいつにはアトリエで暮らしている筈だ」
リョーマから聞いていた小松の家庭環境を思い出すのだった。
「1人で」
平の言葉に円と角が見つめ合う。
そして、苦笑いを平へと向けた。
「「今、どこにいるんだ? その男は」」
◆
「どうして兄貴が背負うんだよ」
伸びてしまっている洸を背負う角に、
「僕が背負ったっていいんだよ!?」
納得のいかない平が角に言うのだが、
「馬鹿ね。角は、サッカー部の副主将なのよ、誰も怪しんだり、意味深に取られるなんてことないわ。でも、お前はどう? 平。同学年の話しかけたりしたことのない彼を背負ってなんかいたら、……後々、面倒なことに巻き込まれるのは、あの子でしょう? 少しは、先のことまで頭をきちんとお使いなさいよ」
平の何の考えもしていない行動と、言葉に円がキツくも叱る口ぶりで言う。
「兄貴だって色んな噂されてるし、疑わられてもいるって知ってて言ってんの? 姉貴ってば」
色んな意味で目立つ松本の兄姉。それと平も同様に目立ち、ファンクラブもある始末だ。他校にも。
「残念だけど、変な追っかけはいないんだよ、角にはね」
「っそ、……それはっ!」
言い返す言葉に詰まる平に「ぅ、ンんん」と洸の声が聞こえた。
放課後のいつもより静かな廊下でだ。
「!? ひ、洸っ」
「ン、にゃ? ……????」目を覚ました洸は寝ぼけていて、何故、背負われているのか分からないのか、回転しない頭のせいなのか反応をしない。しかし、それもすぐに変わる。
「船橋、起きたのか」
洸を背負う角が覚醒した平に声をかけた。
そのことによって。
「!? っせ、せンんんっぱ!?」
彼は完全に目を覚ますのだった。
「ぇ、……えぇええ?! ぉおおオレっ、おおおぉおお、オレ!?」
恥ずかしさと困惑に身体を身震いするとである。
ビキぃいい‼
「っだぁああア‼」
腰が、孔が悲鳴を上げた。
洸の顔が角の肩に埋められた。
「っひ、……っぎ。ぅ、……あァあ゛っ」
「愚弟が悪かったな。痛むか」
低い口調で心配する言葉を洸に向ける角に洸も、
「ぃ゛だぃ゛でず」
短くも悲鳴に近い声を吐いた。
「平。お前は暫くお触りなしよ、いいわね」
「っな、なんでだよ!」
「これが女性相手だったら、大怪我 よ! 責任を取らなきゃいけなかったし、親の顔に泥を塗ったのと同じことっ! 恥を知りなさいっ、拗らせDT!」
角の後ろで肩を並べて歩く円と平が言い合う。
一方的な円の言葉に平も口をへの字にさせた。
「責任をとるさ! その覚悟で嵌めたんだ!」
平が覚悟の上での行為だったことを円に吠えた。
しかし、そんな平の叫びは円からは冷ややかに見られるのだった。
「無理矢理シた男に惚れるのは稀よ。お前はマジで大馬鹿だなっ!」
立ち止まった円が平の胸ぐらを掴んで言い放つ。
熱くなっている円を視ることもせず、
「後にしろ、円。今はこっちを送るのが先だろう」
すたすたと美術部へと直行する。
「……そうだった! こんな馬鹿を罵る場合なんかじゃないねっ!」
円は吐き捨てて手を胸ぐらから解き、小走りに角へと向かう。
立ち止まったままの平だったが。
「くっそったれ!」
円と同様に角に向かい勢いよく走る。
◆
起きた洸の頭は依然と大混乱中だ。
(何が、どうなって、副主将 に背負われてんの!?)
そして、問題なのは。
(ぁ、孔が、……切れてないかっ?? めっちゃくちゃ痛 ってぇええっ!)
平の茎を無理くりと挿入されてしまった――孔である。
違和感は孔ばかりではなく、その奥もだ。
(お腹が、……たぽたぽする。なんだ? しかも熱いっつぅか、……漏れそうって。まじでなんなんだよ!?)
平が中出ししてしまった精液が腸を圧迫する。
他人の熱に、その違和感に。
(気持ち、悪 ぃい~~っ)
マーキングされたことを覚えていない洸は悶々とし。
その尻を持ち支える角の手も、溢れる平の精液で濡れて汚れていた。
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