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金平糖6 ズレのある気持ちと想い
3人の行き先は松重小松のいるであろう美術部の美術室。
「ぁ、あの!? っも、もぉう大丈夫なんでっ!」と洸 は角 にしどろもどろと訴えた。
だが、
「何が大丈夫なんだ? 軽いし背負えなくはない。気にするな、船橋」
角は聞く耳もなく言い放つ。
微動だにしない角の様子を横目に、円 も口を開く。
彼女にとっては、堪らなく気になっている問題点だからだ。
「お前さー平に何をされたか覚えてるか?」
円の言葉に平の表情が曇り、角も「訊くのか」と鼻先で一呼吸を吐いた。
「え?」
咄嗟に洸も言葉の意味が分からなかった。
「オレが、……平になんかされたって……ぇっと????」
目が宙を泳ぎ、記憶の波へと網を差し入れ手繰り寄せる。
「ぇえっと? ……ンんん????」
徐々に思い出される。
羞恥の記憶と、その記憶の中での行為によって孔も痛む。
「っつ!?」
ついには言葉も失う彼は――思い出すのだった。
それには平も喜び、角は対照的に項垂れてしまう。
「ぁア゛ぁおォおア゛ァっっっっ!?」
言葉も失う洸に、
「言っとくけどね、僕は悪かっただなんて思ってないからな」
平も強い口調で続ける。
「洸がリョーマのことを聞いてきたから、どーゆーことなのか教えただけなんだからさ」
悪びれる様子もなく、きっぱりと言い放つ平に洸も耳を疑う。
「それにさぁ。洸が抵抗をしたら僕だって指や茎の1つも、洸には触れる気もなかったんだ。この先も、洸に部活以外で話すことも、絡むような接点もなかったんだからさ。突きいる隙を与えた洸の甘さも悪かったでしょう」
自分に非はなく、むしろむしろと抵抗をしなかった洸に問題があるとばかりに平が責めた。
よくも分からずに責められる洸も、
「ぉ、オレが……悪いってのか!?」
言い淀んだ声で思わず平に聞き返してしまうのだった。
親友の小松が悪名高い不良のリョーマから2月14日のバレンタインデーに金平糖を貰った。
ただ。ただと【その理由】を知りたかった。
金平糖の意味を――知りたかっただけだった。
リョーマの小松への気持ちに興味が沸いた。
腫物扱いの彼が何故、小松にバレンタインデーに金平糖を渡したのか。
その彼と肩を並べて普通に接する平が同じサッカー部だったことを思い出して、
「オレはお前がオレをどう見てたかなんて知らなかった。ただ、リョーマのダチだったから興味本位に聞いただけだったのに、……なんだって掘られなきゃなんなかったんだよっ」
たまたま部室で2人きりになったから声を掛けただけだったというのに、この有様だ。
しかも、組み敷かれ孔に茎の先端 と腸の奥へと濃くも多い精液 を流し込まれた。
平の先端の形を刻まれ、興味本位の手痛い代償を支払されたことに洸とて納得がいかない。
ここまで平に好き勝手にされた意味が、洸には分からないからだ。
「え。船橋、……お前は分からないのか?」
「そりゃあそうだ。普通なら分からないだろうさ。だって、だってだよ? 角」
「あん?」
「愚弟は何も船橋に言ってない。言わないで船橋とは身体の繋がりを持ってしまったのよ?」
円が角に、如何に平の馬鹿な真似をしたのかを告げる。
乙女である円だが腐女子ではない。
むしろ家族である【男】以外は大嫌いで――百合だ。
男恐怖症を克服の為にとサッカー部のマネージャー業務を担っていた。
最初は部員とも話すことも出来なかったが、この1年の間に顔を目を見て話すことまでは出来るまでになった。
その部員の中には洸もいて、数回程度は話すことはあったが。
部員全員の顔を野菜で視ていたからであって、
(船橋洸ってこんな顔だったのかぁ)
初めてみた洸の顔と、さらに真っ裸と平の茎が孔に挿入れられたところを目撃をしてしまった。
そして。
初めて見る彼のトロ顔に――興奮をしてしまった。
下着の中が濡れているのが分かる。
(男なのに女てぇな顔で喘ぐなんてさ、なんて……っふ)
きゅん。
胸が高鳴ったのだ。
(船橋ぃー可愛いんですけどぉう~~!)
目が、頭の中が洸で一杯だ。
平と同じ血が流れる円も洸に魅入られた。
堪らなく彼が可愛く見えてしまったのだ。
そんな双子の片割れである角はどうかといえば。
(ふむ。オイラの茎はあの孔に挿入るだろうか)
股間は熱く張り、勃起をし疼いていた。
愚弟と同様に下半身が洸に興味を抱いている。
兄姉、弟といい始末が悪いこと甚だしい。
「平。船橋に言うことはないのか」
「え」
「そうね。言わなければ、あの行為はただの強姦。犯罪でしかないわよ」
「え?」
「「船橋に言うことはないのか??」」
角と円が声を合わせて平を咎めた。
「いや。言われてもっ、困るんだけどね!」
洸も思いっきり拒絶の言葉を平に言い放つ。
万が一のことを考え、
(告白されても許す気なんかないからなっ!)
平が何かを言ってくる前に一呼吸を吐く。
「僕、教えたよね?」
「は?」
「身体に」
「!? っそ、それはっ!」
思いもしない平の言葉に洸も絶句をしてしまう。
「お腹の中に違和感があるだろう?」
「ぇ。ぁ、ああ。なんか、……ああ。圧迫されるような――」
「僕が洸に中出しをしたからだ」
さらに驚きの言葉を放つ平に、洸の口も塞がらない。
「洸の中を僕使用にした。僕以外に満足しないようにだ」
平のつっけんどんな物言いに眉を吊り上げるのは。
「「平ぁアア!?」」
角と円が平に声を荒げる様子を、
「中、な゛な゛な゛な゛……」
洸は絶句をしてるのだった。
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