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第16話

真っ白な光が差し込んでくる。そして俺を暖かく包み込んだ… 「竜胆…戻ってこい…」 優しくて温かい声… ゆっくり目を開けるとぼんやりと表情が見えた… 「…母さん?」 「竜胆!!よかった!」 俺は数日間眠り続けていたらしい。 その後検査が色々行われて数日入院することになった。暴力で受けた傷もそうだけど他にも睡眠不足や栄養失調になりかけていたりで思ったより俺の体はボロボロだったらしい 両親とともにそこにいたのは菖蒲と店長、そしてえむくんだった 「どうしてえむくんが…」 「ごめんね…実は内緒でカメラ仕掛けてたの…それで…けいくんの暴力と無理矢理の映像と君の首を締めているのが残っててそれを全て警察へ持っていって…」 「じゃあ俺が締めたのも…」 「…さぁ?そんなのは見つかんなかったよ」 「え…」 「だからね。もう安心して…大丈夫だよ。けいくんはしばらく出てこれない。他にもたくさんの被害者が名乗り出たからね」 「…そんな…俺は…あいつじゃないと…俺…」 「光海さん…」 「竜胆!何を言ってるの!?あんな目にあっておいて…あの家はもう解約しましたからね。」 「何で勝手に!!」 「あの人がまた来たらどうするの?今度はわからないじゃない!」 「けど…」 「新しい家も決めてきたから…お願いだから…言うこと聞いて…」 母は幼い頃から自分の中で決まりがあるのか自分がだめだと思えばすべて否定をして俺たちの話には耳を貸さなかった。その度父が説得してくれて渋々頷き今があるのだが…今回ばかりは母の泣き腫らした顔と窶れた姿を見せつけられてしまったので従う他なかった 「…わかった…」 「もう荷物は新しい家に運んでおいたから…店長さんとお友達が手伝ってくれたのよ」 「そう…お礼言わなきゃ…」 「なぁ。竜胆」 「ん?何?父さん」 「お前は…同性愛者なのか?」 「…うん…黙っててごめんなさい…」 「そうか…」   両親は俺がノーマルと思っていただろうから相当ショックを受けただろう…それに追い打ちをかけるようにその相手に殺されかけたのだから無理もない 「軽蔑する?」 「俺には理解できない…」 「ごめんなさい…俺は…無理だから…普通なんて…無理だから」 「けれど…俺の息子だ。時間は掛かるかもしれないが…理解したいと思う…」 「ちょっと!お父さん!!何言ってるの!?そんなの間違っているに決まってるでしょ!!きっと疲れて勘違いしているだけよ!!竜胆は普通よね?男が好きなんてありえないじゃない!私達の息子よ?ねぇ!ねぇ!!」 「…ごめんなさい…俺は…」 そう言うと母さんは矛先を店長に向けた。 「店長さん!!あなたね!あなたが竜胆を追い詰めるようなことをしたのね!!そんな仕事辞めなさい!!辞めなさい!!!店長さんがお休みくれないんでしょ?ブラック企業なんでしょ?そうよね?そうじゃないとあんなに遅くまで仕事なんてしないでしょ!!こんなに窶れないでしょう!!なんてことしてくれたのよ!!」 「違う…店長は違う!会社だってそんな会社じゃない!!!俺がおかしいだけ!店長は何も悪くない!!母さん!もう出てって!!」 「な…」 「顔見たくない!帰って!!」 店長とえむくんの服を掴んで母に言う。俺は知ってる。同じ人がここにいるってこと…彼らは素晴らしい人だってこと…俺なんか同じとこにいるのが烏滸がましいくらい本当に素晴らしい人なんだから 「父さん…あの人連れてって…」 「わかった。行くぞ」 「ちょっと!!お父さん!話は終わってない!!」 「いい加減にしなさい!見苦しい。店長さんたち…家の妻が申し訳ない…竜胆のこと頼みます…」 父は深く頭を下げて帰っていった。母はまだ何か言ってたけどその声も遠ざかっていった

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