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第24話

「店長」 「ん?」 「あなたなら選びたい放題でしょ?」 「…まぁ…否定はしないが…」 「遊びなら…いいですよ」 「は?」 「俺毎日あいつに抱かれてたんでそれなりに頑張れますよ」 「…お前…今どんな顔してそれ言ってるかわかってるか?」 「え?」 「別に俺ヤりたいからお前に告ったわけじゃねぇぞ」 「だって俺には顔と体しかないから…一目惚れなんでしょ?だったらやっぱり見た目じゃないですか」 「きっかけはそうだが…それだけじゃねぇよ。言ったろ?俺はお前だから惚れてんだって」 「わかりません。俺は人を好きになったことないから」 「好きになって欲しいなんて言わないよ。ただ側で見守らせて欲しい。困ったときとかきついときとか頼ってくれると嬉しいが…まぁお前はそういうのも苦手そうだな…じゃあ…近くで監視させてくれ。また今回みたいなことが起こらないように。お前がいなくなったら困るやつ大勢いるんだからさ」 「そんなのいませんよ」 「それがさ…いるんだよ。さっきから俺のスマホ鳴りっぱなし…見てみろよ」 そう言って画面を見せられる。そこには俺へのメッセージが大量にあって 「ほら。みんなして俺にずるいとか言うんだぜ?酷くねぇか?俺仮にも店長よ?なのに一番にお前に会えるのがずるいってさぁ…当然じゃんか…店長なんだし第一発見者だし?」 「えっ!!」 「やっぱり気になって翌朝迷惑だとは思ったんだけど家に行ったんだよ。お前出勤だったしな。けどさ呼び鈴押しても出てこないから何事かと思って開いてないだろうと思って扉に手をかけたら鍵あいてて不法侵入になっちゃうけど勝手に入ったんだ。そしたら倒れてるお前とその隣に何かブツブツ言ってるあいつがいてさ。問い詰めたら首絞めた…殺したって…びっくりして急いで救急車呼んでたらまた来訪者が…まぁそれが山百合さんなんだけど…山百合さんに応急処置してもらってそれでもお前は一向に目覚めないし…心配したんだよ…」 「すいません…」 「お前の状態が安定するまで見舞いには来るなとみんなに伝えててみんな我慢してるからこれよ。みんなお前のこと好きだもんなぁ。まぁ俺が一番だって自負してるけどね」 自分が思っている以上に俺を思ってくれている人がこんなに沢山いて…俺は何を見てきたんだろう…どうしてこんなにも周りが見えていなかったんだろう…自分が恥ずかしくてでも何だかほわほわして…何故か涙が溢れた。そんな俺をそっと抱きしめてくれる店長の温かい腕の中にずっといたいという欲が生まれた瞬間だった

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