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第29話
「おはようございます」
「光海さんっ!おかえりなさぁい」
店につくとその日出勤だった人たちに取り囲まれた。
また一緒に出来ることを喜んでくれた。
「店長は?」
「店長は一回来たけどまた出てますよ」
「そうか」
それから暫くして戻ってきた店長の手には花束。
「おかえり」
そういって俺にくれた。
「男に花とかっ!」
「お前に似合いそうだったから。この花の花言葉もいいと思って…お前好きだったろ?花言葉」
「…アフリカンマリーゴールドとフレンチマリーゴールド…ですね…ありがとうございます…」
店長の心遣いがとても嬉しかった…
アフリカンマリーゴールドには逆境を乗り越えて生きるという意味があるらしいからだ…そしてフレンチマリーゴールドには…いつもそばに置いて…
…あぁ…もう…本当にこの人は…花屋なんてなかなか行かないでしょ?男性ってさ…それで俺のためにこれをお願いしたことだって恥ずかしかったと思うんだ…
花屋には似つかわしくない格好でさ…
「あぁ!もう!店長だから許されるんですよ!そんなの」
「そうか?それはありがと」
「お礼言ってる場面でもないけど…」
「ふふっ…久しぶりの夫婦漫才です」
「はぁ?」
「やっぱり店長と光海さんはこうでなくちゃ!!」
そうして暫く皆で笑い合った
「よっし!開店準備するぞ!」
「はい!」
その日のお客様は切れることなく忙しかった。誰もが俺のことを気遣い声を掛けてくれた。
「良かったぁ!おかえりなさい。もう平気です?」
「はい!ご心配おかけしました。」
「やっぱり光海さんいないと寂しかったです。スタッフの人たちも元気なく見えて。やっぱり光海さんはみんなの中心にいて欲しいです!イケメン…癒やし…」
「あははっ!ありがとうございます」
こんなにも周りに恵まれていたのに…見えていなかった…自分のことだけ…一人で悲劇のヒロインぶってさ…何度目かの自嘲だ。
俺はここにいていいってみんなが教えてくれる…この場所を俺は大切にしたい…
「今日は快気祝いだ!行けそうか?光海」
「はい!みんなとご飯行きたいです!」
あいつと付き合う前に皆でいつも行ってた行きつけの居酒屋へ向かうと店主がわざわざ出てきてくれて俺の復帰を喜んでくれた
「光海さん!よかったよ。元気そうで。最近見てなかったから寂しかったよ」
「俺もここへ来れなくて寂しかったです。今日皆でこれてよかった」
「うんうん!ゆっくりしていくんだよ」
「はい!」
そうして数時間
「ちょっとお手洗いいってきますね」
そう言って席を立って向かう。
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