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第31話

「いいですよ!俺男だし実は酔ってないし…さっきのは口実です。貴方にあの瞬間触れたかった俺の貪欲な思いです」 「お…あ…えぇ…お…」 「店長。言葉になってませんよ。大丈夫ですか?」 「んなっ!!大丈夫なわけあるかぁ」 「なぁに騒いじゃってるんですかぁ?」  「森」 「んもう。美丈夫が二人揃ってトイレ前占拠しちゃってて女の子だけでなく男の子も失神寸前ですよぉ。戻ってらっしゃい。お二人共」   森に連れられて戻っていると頬を染めた男女が数人いた。俺のせいではないと思うけどみんな店長に見入ってる。だからこれは酒のせいだけでなくこの人のせいだ。流石だと思いながらみんなの元へ戻るとみんなしてニヤニヤしながら俺たちを見る 「進展しましたぁ?てんちょ」 「進展も何も…」 「んもう!いい加減くっついちゃったらいいのにぃ」 何だか勝手なことを言われている気がする… 「ここまでお似合いなんてそういないですよぉ」 「会社全体で公認なんだからもう折れちゃってくださいよ!光海さん」 「えぇ?俺?てか会社全体とは?」 「そうですよ。知らなかったんですか?俺店長と面接同じだったんですけど名指しでその人と働きたいと熱く語ってた相手が光海さんだったんですよ。俺も光海さんのファンだったけど流石にあるスタッフがくらいしか言わなかったのに店長は光海さんと一緒に働きたい!って言い切ってそれが何か面接官に響いたんでしょうね。採用でちゃっかりその店舗になるなんてもうドラマかと思いましたよ」 「半分は上の遊びだな。そこにこんな逸材来たら取らない訳ないっしょ」 そんなことがあったなんて… 「本当に知らなかったの?光海さん」 「何も知らないしそれ嘘だろ!」 「なぁんで嘘つかなきゃなんないのよぉ。もぉ!りんちゃんったら!」 森は変な嘘はつかないやつだからそれは本当の話なんだろう。 そんなこと知る由もなくて… 「バラすなよぉ」 店長の表情が今日はコロコロと変わってとても新鮮でいつも以上に惹きつけられてしまった。 「あれぇ?」 「え?何?」 「むふふ…光海さんのそんな顔初めて見ました」 「顔?」 そう言うと同僚が耳打ちする 「店長に見惚れてるでしょ?」 「へ?」 「すごく優しい顔で見てました。そんな光海さん見て俺もドキドキしました」 そんな顔してるんだ…あぁ…俺って何でこんなに現金なんだろう… もっともっと近くに行きたいなんて烏滸がましいことを思うなんて  

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