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第34話
「りん。まだ寝るなよ」
失神した男に声をかけもう一度律動を始める。
声にならない声を上げ続ける男。
「…」
そんな彼が小声で男に何かを呟くと男は嬉しそうに頷きそのまま彼を抱きしめた。
「今日のお披露目はおしまい。じゃあね」
そう言うと周りからブーイングが聞こえた。
その声に気を良くした男は見せ付けるように相手にキスをしてステージを降りた。
そのままVIPルームに消えていく。VIPルームだけはは飛び入り参加する際は部屋の利用者に許可を取らないと入れない
VIPに消える寸前に男に声をかけた。
幸い俺が一番近くにいたから一番に来れた。
「俺も参加させてよ」
そう伝え笑顔を向けると男は頷いた
「あんたみたいな男前は大歓迎だよ」
「じゃあよろしくね」
そう伝え男にキスをすると男は直ぐに夢中になる。
「あんたキスうまいんだ?」
「どうかな?他とは比べたことはないからね」
そうこうしてると他の客が群がってきた。
俺も俺も参加を熱望する奴らばかりだが男は俺だけを連れて部屋に戻った。
「一度こいつを綺麗にしてくる。あんたも来る?」
バスルームに行きありのままの姿になる。
男は思ったより綺麗な顔をしていて先程までステージで相手を嬲っていたようには到底思えない爽やかな顔をしていた。
「綺麗な顔」
「ありがと。でもりんの方が断然綺麗だよ」
そう言って彼のマスクを外すと白目をむいている顔が出た
「…りん。りーん。起きて。お客さんだよ」
「…な…で…二人…い…い…て…」
焦点は定まらずこちらを認識していないようだが思った通りの人が出てきて色々な感情を押し殺すことに必死になっていた。
そこにいたのはどうみても愛しいあの人だからだ
「本当にきれいな人だね。でもさ…この子は今日はもう使い物にならなそうだね」
「そうかなぁ?まだ行けるよ。ね?」
「…」
「ね?りん」
低い声で囁くと彼はピクリと反応して辛そうに俯きうなずく
「大丈夫…」
その後は彼に意識を向けさせないよう男を何度も高みに導いた。彼はホッとしたように眠りについていた。その隣で交わり続けた俺たち。
事が終わってから甘い声で男を誘惑して連絡先も難なく交換した。
それから光海さんを誘わないよう仕向け男を誘い続けた。
あの店のステージで何度も男を嬲りあの日のように男を悦ばせそうしてやっと別れさせることに成功したのだ。
男が誘わないから光海さんの顔色は良くなって体調も安定したようだった。
あの苦しい表情で電話をしている姿も見なくなった。時折寂しそうにスマホをチェックしている姿も見ていたけれどある時から何か吹っ切れたようだった
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