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第38話

「よかないよ!でも…あはっ…よかった…本当によかった…前を向いてくれたのなら…」 「誰のせいだと思ってます?」 「山百合さんかな?」 「もう…この人は…」 「…くすっ…お時間大丈夫だったら店よります?嬉しいので私の奢りです」 「いいんですか?飛弦さんのお店見てみたいです!」 「えぇ。是非。」 「じゃあ俺行ってくるから。また明日です。お疲れさまです!」 そう言って飛弦さんの腕に腕を絡ませて歩き出そうと背を向けた。その俺を反対側の腕を店長が引く 「お前だけでは行かせない…あそこは出会いの場所だ。また変な輩に連れて行かれちゃ困る。俺も行く」 「えぇ!人に任せようとしてた人が何言ってるんですか?」 「いやだ!やっぱり俺がお前と共に生きたい!」 子供みたいに駄々を捏ねる店長を初めてみてそれもまた嬉しかった 「仕方ないですねぇ。では行きましょうか?お二人共」 そんな風に男3人腕を組みながら店へ向かった 店はやはり落ち着いた感じの場所。見るだけで皆が何を求めているのか手にとるようにわかるような気がした。 店長と一緒にカウンターに腰掛ける 「光海。明日出勤だからそこそこにしておけよ」 「わかってますよ」 それから暫くして飛弦さんおすすめのドリンクが運ばれてきた。 「光海さんにはアキダクトです。実は花や宝石のようにカクテルにもカクテル言葉ってあるんです。これは俺から二人へのメッセージです。気になったら調べてみてくださいね。藍さんはこれですね。カミカゼ。わかりますよね?」 店長は強く頷いた。 「二人が共に幸せになれるよう私は願っています。ごゆっくり。お帰りの際は声をかけてくださいね」 それからゆっくりと肩を並べて色々な話をした。 帰宅するとき飛弦さんに声をかけると小さく頷いて店の外まで送ってくれた。 「また二人でぜひ。色んなお話きかせてください」 飛弦さんにお礼を言って結局店長に家まで送ってもらった 「本当に前のとこの近くなんだな。大丈夫なのか?」 「はい。逆にわからないと思うので…けど…今日は一人でいたくないので…良ければ…泊まっていきません?」 「えっ!!」 「だめですか?」 店であのカクテルの意味を調べたのだ。飛弦さんはそういう意味で選んでくれたわけではないかもしれないけれど俺はそういう意味で受け取ることにした。 時の流れに身をまかせて…この人のものになりたい… それは俺の偽りなき思いだから… 俺の精一杯の誘い…できれば流されてほしい 「…いいのか?本当に…」 「はい。俺は貴方がいい」 世間的に見ればつい最近酷い目にあったのに理解されないかもしれない…けれど…どうしてもこの人が欲しくて仕方がなかった

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