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第44話
急いで準備をしたが折角休みにしてくれたので朝食をゆっくり取ることになった。
母の作ってくれていた余り物とそれをアレンジした店長のご飯。
一緒に食事を摂ることがこんなにも嬉しいとは…普通のことがこんなにも幸せなんだって噛みしめる。
これまで何でもなかったこと一つ一つを大切にしたいとそう思う。
「森の好きな菓子でも持って行こうか」
森の好きな店もわかるので一緒に買い物に行って店に向かった。
「お疲れさま」
「あ!店長。お疲れさまです」
「伊路か。ごめんな。俺が寝坊したばかりに」
「いえいえ。お陰で副店長と過ごせたので」
「相変わらずだな…」
「はいっ!俺のながぁーーーーーーーい片思いも実るように願っててくださいね!」
「はいはい」
伊路が森に猛烈にアタックしているのは今に始まったことではない。
森の店に配属された伊路はひと目見た瞬間からアプローチし始めたのだ。
勿論お客様がいるときにそんなことはしないし真面目に仕事はこなせるのだが客が引き店内作業が始まるとそれは始まる。
口説いている暇があるのなら手を動かすように注意をしたくても手は動いていてやることはちゃんとするのであまり強く言えず困っているという相談を何度か受けたことがあった。
とうとう体の関係が始まったことも教えてくれた。
森も前は色々あったらしいので特定の人は作らないようだった。
「光海くん。おはよぉ。昨日は眠らせてもらえた?」
今度は出野口さん。
「すいません。出野口さん。俺が起きれなくて」
「いいのよぉ。良かった!寝坊するくらい眠れたのならかえって安心したよ。今日はゆっくりして無理せずまた仕事したらいいよ。私も突然の休みなんて日常茶飯事だからお互い様…ていうより私の方がだよ。だから気にしないで!気にされたら私も気にしちゃうから」
「ありがとうございます」
「公私共に店長を頼っちゃいなさいな。それが店長の生きる道となるわぁ。んじゃあまたねぇ」
そう言って肩を叩いて走り去っていった。
「…あれで…あの年」
「こら。それは禁句…」
「二人共!」
「森…今日はすまん…」
「ほんとよもう!私がいたから良かったものの…伊路といでちゃんもきてくれたからさぁ…と言いたいとこだけど…まぁ。いいわ。二人共まだ有給あまり過ぎてるから消化してちょうだい。それで行くと…うん。明後日まで休んだら?二人共」
「え…でもそれじゃあ…」
「私?私は2日前まで連休だったから平気よ。シフトもそもそも動かしやすいようにどっかの誰かさんが決めてくれてるからね。りんちゃんに無理させないためにね」
「俺?」
「えぇ。光海のことだから直ぐに復帰したいと言うとは思うけど無理させたくないからって」
「そうだったんだ…」
「だからゆっくり休みなさいな。んじゃお疲れさまです」
ほぼ無理矢理帰宅させられた
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