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第45話

「何する?時間結構あるけど」 「一旦俺の家に帰って着替えとってくる。暫くお前のとこで世話になるわけだし」 「大丈夫ですよ。そんな無理しなくて」 「何だよそれ冷たいなぁ」 「…言ってませんでした?俺の元彼たちは皆うちに転がり込んできて…それで…」 「あぁ。そういうことか…うん。お前が不安になるのもわかる。だから期限を決めたんだろ?10日くらいお前の家で過ごした後は一旦家に戻る。その間俺はお前に信じてもらえるようにする。それでお前は俺と正式に交際するのか否かを決めるって。だからチャンスくれよな」   店長は茶目っ気たっぷりにウインクすると俺を抱きしめた 「覚悟してろよ?」 甘く脳天まで響く店長の声で俺はイッちゃえそうな感覚がした。 「車あるしドライブでもしようぜ」 これまでデートというデートはしたことがない。会えば直ぐにベッドへ行くからだ 「うん。うれし…」 「お前のそんな表情初めて見る。嬉しい」 「店長はホントにタラシですよね」 「…それは否定できねぇな。でないとこの仕事やれねぇだろ。お前もな」 店長の家に入るのは初めてだ。 「お邪魔します…」 「テキトーに寛いでて。すぐ準備するから」 そう言って奥の部屋に入っていった店長を見送って部屋を見渡す。俺の家より広くて眺めもいい。 今腰掛けているソファーも座り心地が良い…店長の部屋なのにソファーで抱かれていたけいくんとのことを思い出した。 けいくんはいつも俺の気持ちはお構い無しで初めて組み敷かれたのもソファーだった。 ここより少し硬めのソファーでの情事は体に負担も凄くて痛みに顔を歪めた。その顔もけいくんを煽ることになっていた。 そんなの知らない俺はただただ早く逃れたくて頷いた。 「…馬鹿だったな…」 本当はもっと抵抗できたはずだったんだ。でも俺は俺自身を大切にしなかった。やっぱり俺はそういう運命なんだなって…そう生きるしかないんだなって諦めて受け入れた。 全部けいくんが悪いわけじゃない。俺にも原因はあった。 自分を大切にすることを教えてくれたのは店長と仲間たちだった。 「竜胆。平気か?」 いつの間にか戻ってきた店長が心配そうに俺の顔を覗き込んだ 「…大丈夫。ただこの座り心地のいいソファーでやったのかなぁ?とか思ってただけ」  「ヤキモチか?」 「そんなとこ。だってこれだけ座り心地もいいならここで抱かれても辛くなさそう」   そう言うと店長が俺を押し倒した   「こうやって誰かをここでって思ったのか?」 「うん」 「…ねぇよ。」 「え?」 「俺はいい加減な付き合いをしてきたし好きなやつがいたこともなかったんだ。好きでもないセフレを自分のプライベートゾーンに入れるのはあまり好まなくてな。だからこの家に来たのは家族以外はお前が初めてだ。そういうお前は?自分ちのでやったんだろ?」 「そうだよ」  「妬けるな。お前をどろどろに俺で溶かしたいよ。」 「する?」 「まぁた…お前らそうやって…嬉しい誘いだけどな。今日はデートすんの。俺実はワクワクしてんだからな。好きなやつと出掛けることは初めてだからな」 そう言いながら俺を起こして額に口付けた 「今はこれで許せ。好きなやつ抱くの結構緊張してるんだ。心の準備させろ」

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