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第46話
「わかった…」
「そんな顔すんな…」
「そんな顔?」
「淋しそうに目を潤ませるな…意地悪したくなるだろ?」
「…していいって言ってるのに」
「…俺は優しくしたいの」
「意気地なし」
「うるせぇよ。じゃあ行くぞ」
そう言うと俺の手を取って歩き出す。先に助手席を開け俺を乗せたあと店長が乗り込んだ。
「行きたいとこは?」
「わかんない…」
「じゃあ…水族館でも行くか。最近リニューアルしたらしい。お客様が言ってた」
「…」
「竜胆?あまり好きじゃない?」
「ううん。子供以来行ってないからなんだかドキドキで。店長…藍玉さんはよく行ってたの?デート…」
「あぁ。学生時代に読モだったからその撮影でな」
「そんなこともしてたの?」
「あれ?知らなかった?」
「初めて会ったときどっかで見た気がするとは思ってたんだけど…そっか…へぇ」
「友達が勝手に送ってたんだよね。そのお陰でこの業界に縁があったんどけどさ、けどプライベートではないなぁ…面倒で…俺はどっちかっていうと一人の時間が好きだしそもそも好きでもない相手と共に過ごすとか無理だし。だからさデート初心者同士楽しもうぜ」
そう言ってくしゃりと髪を撫でてくれた。その仕草がすごくかっこよく見えた
「何か…慣れてるし…」
「あ?」
「頭くしゃくしゃとかさ…さり気なく手を繋ぐとか…」
「いやだったか?」
「…やじゃないから困ってるの」
「俺さ弟と妹がいんだよ。それでかもな」
「えぇ…何歳?」
「今10歳と8歳だ」
「えっ!?俺そんなに子供っぽい?」
「そういうこっちゃねぇよ。俺にとっては可愛いんだよ。でもあいつらとはこんなことできねぇだろ?」
そう言うと信号待ち中にキスされた
「ちょっと…周りから見られちゃうよ…」
「見せてやりたいんだよ」
そう言ってそっと俺の手を握った。そのまま目的地についても暫く車の中で何度も唇を重ねてた
「その顔…たまんないな…やべぇ…このままじゃ水族館いけなくなる…行こうか」
「うん」
入った瞬間別世界だ。本物の海に抱かれているようなそんな感じ。
真っ暗な通路を暫く歩いた目の前に大きな水槽が見えてきた。
「うわぁ…」
そこには何種類もの魚たちが泳いでいた。
たまたま餌やりだか清掃だかわからないがダイバーがいてそっと優しく魚たちに寄り添い悠然と泳いでいた。
怯えることなくその人に撫でられている。その人は水槽越しでもわかるくらい優しそうな雰囲気がした。俺たちは二人の戯れを暫く凝視していた
「人泳いでるの始めてみた。みたことある?」
「俺も初めてだ。あ…イベントやってるらしい。大水槽の上から眺められるんだって。行ってみる?」
「行くっ!!」
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