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第49話

「店長。何か手伝うことありますか?」   「じゃあこれ、切ってくれる?」 「はい。店長」 「…なぁ。竜胆」 「ん?」 「…あのさぁ…」 何か言いにくそうに店長がしてる。やっぱり好きだって思っていたことが勘違いだったかな?とか思われてるのかな…その方が店長もいいだろう。 だって俺は使い古されたモノだから 「…やめますか?俺と進展するの。今なら引き返せますよ」 「誰がそんなこと言うかよ。やっとスタートラインだっていうのに…」 「言いにくそうにしてるから…」 「あぁ…子供っぽいかなぁって思ったんだよ…」 「何がですか?」 「だぁかぁらぁ…二人のときは名前で呼んで欲しいって…言うのが」   …え?何それ?名前で呼んでないっけ…?…あ…あぁ…ついつい呼びなれた方で呼んでることが多いかもしれない…そんなことでちょっと拗ねる姿も可愛らしい… 「ふふふっ…仕方ないですねぇ。藍玉さん」 「ふふ…」 店長は照れ臭そうに笑う 「普段も店長呼びは寂しかったんだよ。お前公私分けるの得意だろ?」 「うん。藍玉さんもだよね」 「あぁ。二人でいるときはさ特別感を味わいたいんだ」 「はい!」 「よかった。よし。そろそろ出来るぜ。皿用意してくれる?」 「わかった」 二人で食事を摂り片付けをしていると電話が鳴った 「藍玉さんだよ」 「あぁ。待ってろ」 そう言って店長は席を立った 俺の隣に戻ってきて電話に出ると不機嫌そうに話し出す。 「大丈夫?」 電話を切った店長に話しかけると面倒そうに顔を歪ませた後で俺を抱きしめた 「不快にさせたろ?ごめんな?」 「ううん。ご両親平気?」 「あぁ。今更なんだよな…」 内容としては店長への見合いの話。そして家業を継ぐように諭されていた。 実は店長は大企業の御曹司だったらしい。 その事実は恐らく誰も知らない。元はお兄さんが継ぐ予定になっていたみたい。それが何故か今になって店長へ矛先が向いたそうだ。 「ごめん…明日一緒に来てくれるか?」 交際相手を連れてこいと言われたらしい。 「いいよ。だってお試しとはいえ交際相手で間違いないもんね」 「何かあれば俺がなんとかするから…」 「うん」

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