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第56話

「ん…」 「…起きたか…竜胆。離れてゴメンな」 「ごめんなさい…俺…」 「いや。天河もやり過ぎたって反省してたよ」 「ここ…」 「あぁ。俺が使ってた部屋だ」 店長が側にいてくれてほっと息を吐いた 「店長…天河さんに聞いたよ…俺が…あの店で…」  「…うん。それでも俺はお前への想いは消せなかったよ…好きな相手のパートナーを奪ってそいつを抱いていたのにそんなこと言うなんておかしいけどさ…」 「…ううん…ありがと…」  話していると控えめにノックの音が聞こえた 店長が返事をすると静かな声が聞こえた 「俺…入っていい?」 天河さんだ。店長は俺に目配せした。それに頷くと扉を開けた 「…りんくん。ごめんね」 「いえ。すいません。ご迷惑をおかけして…」 「わかってたのに…君がまだ本調子でないこと…」 「どうして?」 「…山百合…わかる?」 「はい。山百合が今やっている事務所は山百合ともう一人と…それと俺で作った場所なんだ。山百合とそいつと俺元々友達でさ。俺は本業があるからなかなかそこには行けないから籍だけある感じなんだけど…だから山百合から今回のことは報告を受けていた。過去を洗ったのも俺たちなんだ」 もう一度扉をノックする音が聞こえる。 「竜胆くん。大丈夫かい?」 親父さんだった。さっきまでのきちっとした恰好ではなくシャツの首元は緩められジャケットは着ていなかった。 「目が覚めたんだね」 「はい。ご迷惑をお掛けしました」 「…酷いことを言ってすまなかったね」 本当に申し訳無さそうに俺に謝罪する親父さんに驚いてしまった。何を謝ることがあるのだろう…?親父さんの言っていたことは全て真実で藍玉さんのためを思い言っていることがよくわかったのに… 「…特定を作らなかった藍玉が君と出会って変わった。それを嬉しく思うと同時に心配になったんだ」  

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