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第57話
ほらね。やっぱりそうだった。店長のことを家族のことを大切にしている。
大切に育てた我が子に俺みたいなクソみたいな性活を送っていた奴じゃ許されるわけがないんだ…
けど俺はやっぱり店長が…藍玉さんが好きでどうしようもないんだろう…好きって感情なんか知らなかったのにこれだけ手放したくない…傍に居たい…って思えるんだからそれがその感情なんだろう。恋愛初心者の俺にはまだはっきりと断言することなんてできないけれど…
好きな人が幸せになる為に身を引き幸せを願うなんて綺麗事だと思う。自分以外と幸せに笑っている姿を想像するだけで苦しい…吐きそうになる。きっとそれがみんなの本音なんじゃないかな?って勝手に思ってる。
けど理想と現実が違うのも本当で…親が許さない関係はとても辛いとも思う…
じゃあ俺はどうするのが正解?どう答えるのが相手の求めている答えなの?
仕事なら相手の気持が手にとるようにわかるのに…自分のこととなると…やっぱり…だめだなぁ…なんだか泣けてきた
「竜胆…大丈夫?」
そう言うと親父さんも天河さんも居る眼の前でもお構いなしに店長は俺を抱きしめてくれた。
「ごめんね…わがままで…」
「わがまま?誰が?」
「俺が…」
「…わがままなんて一言も言ったことないだろ。俺はよく言うけどさ」
「だって…俺じゃない方が幸せになれるってわかりきってるのに…どうしたって受け入れられない…嫌だ…離れたくない…藍玉さんと一緒にいたい…」
言い合っていると咳払いされた
「すいません…」
「…いや…うん…良くわかったよ。私はね…本音を言うと反対する気はさらさらなかったんだ…ただ…ここに来て逃げ帰るようならどんな手を使ってでも君たちを別れさせるつもりだった。けど…心配なかったね。竜胆くん。藍玉をよろしく頼むよ」
「え…」
「会社を次ぐのは天河で変わりないしお見合いの話もなんとかなるんだ。リシアとも話をしてね。君を私達の家族として迎えたいんだ」
「家族…」
「調べたのには別の理由もある」
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