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第59話
藍玉side
天河とともに部屋を出た竜胆を追うためドアの方へ向かおうとすると父親から捕まった
「離せよ」
「…藍玉。すぐに終わる。聞きなさい」
「離せ」
「藍玉。お前は本当にいい子を選んだね」
「は?」
「こんな真似をしてすまなかった。彼がお前を本当に思い考えているのか知りたかったのだ。」
「…どういうことだ」
「俺は始めからお前たちを反対するつもりはなかった。竜胆くん次第だとは思っていたけどね。彼と話してみてお前を任せたいと思えた。この屋敷でこの雰囲気で俺たちに萎縮して尻尾を巻いて逃げ出すようなら反対。けど彼は俺をまっすぐ見据え話をできた。お前のことをよく考えていた」
そんなこと言われなくてもわかっている。俺が初めて好きになった相手だ。俺は人を見る目はある方だと自負してる。
けど俺が思った以上に竜胆は強く美しい花だった。俺には本当に勿体なくて眩しくて…けれど俺は竜胆以外考えられないから…
「いい顔をするようになったな。彼のこともいろいろと調べさせてもらったよ」
「何のために?」
「彼の過去を洗っていく中で彼の身に起こった出来事は本当に彼が求めていたことか否か見極めるためだ。あれだけ綺麗な花だ。過去のことを持ち出しまた傷つける輩が現れるかもしれない。望まないことだったのなら過去を世間には知られないよう守りたかった」
「…俺の力だけでは過去を…無かったことにはできなかった…あの店も…潰したんだろ?」
「あぁ。あそこは天河が頑張ってくれたからね。けれど天河の消えた想い人がまさか彼とは…お前たちは好みが似ているんだね。そして見る目がある。流石我が子だよ」
俺だけでは先日のようなことがあっても今度はうまく対処できるか正直わからない。だから父が味方についてくれたことはとても大きなことだった。
ふっと息を吐いて感謝を告げようと口を開いた時だった
「いやだ!!!やだ!助けて…助けてください…」
竜胆の悲痛な叫びと助けを求める声が聞こえた。
「竜胆!!」
隣の部屋だ…何が起こっているんだ。急いで隣へ続くドアを開くと息を荒くし暴れる竜胆と戸惑う天河がいた
「天河!!」
「藍玉?」
天河はとても困惑していた。冷静なアイツが戸惑っているんだ。きっと想定外のことが起きたのだろう
「どけっ!!!竜胆…大丈夫…大丈夫だ」
急いで竜胆を抱きしめて名前を呼ぶと少しずつ竜胆が…落ち着いてきた。
「…て…ちょ…」
「大丈夫だ」
「いやっ!!離して!!やだ!!」
俺だと認識してはずなのにもう一度叫び声を上げる竜胆が急にパタリと動かなくなった
「天河…お前何を…」
「俺…少しからかうだけのつもりだった…俺が口説いて抱かれるような奴なら手放しで喜べないから…ごめんね…やり過ぎた…」
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