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第60話
「藍玉さん」
「ん?」
「俺認められたの?」
「そうだよ」
店長は嬉しそうに笑う。
「流石自慢のパートナーだ…仮だけどな…」
「…良かった…認められて…店長が嫌な思いしなくて良かった…」
「お前さ…人のことばっかだな…」
「そう?」
「あぁ。そうだよ。本当に…だからさ俺が…お前のこと一番に考える。」
藍玉さんが真っ直ぐな言葉で伝えてくれる。それが何だかとても擽ったい
「…ありがと…ねぇ。藍玉さん。ここ来て」
ベッドサイドにいた藍玉さんを枕元へ呼びそっと手を握る
「藍玉さん…キスして?」
「お前なぁ…」
「…お願いします」
店長は苦笑しながら俺を撫でるとそっとキスしてくれた
「好きだよ。お前のことが」
「…ねぇ。仮…やめちゃわない?まだ時間あるけど…もう耐えられないよ。俺が…。藍玉さんが他の人と並んでる姿なんて見たくないんだ」
「…それほんと?」
「ん…ホントはね…自信なかったんだ。だって凄いんだもん…藍玉さんの家族のオーラってさ。一般家庭で育った俺だから気後れしたの。けどさ…それでもあんな風に言えたのって…俺やっぱり貴方に恋をしたからじゃないかな…誰にもあげたくないって…思っちゃったんだもん…貴方の隣に違う人が立って笑う姿を考えただけで苦しい…泣きたくなる…だから…俺をあなただけのものにしてよ」
「…」
「他の誰かのものにならないで…俺だけを愛して…どんな手を使ってもいいから…俺を貴方に縛り付けて…」
「…」
「…やっぱり…だめ?こんなにすぐに倒れちゃうような俺じゃ…だめ…かな」
「だめじゃねぇよ。お前が望むなら…ううん…望まなくてもそのつもりだったさ…お前の意志を尊重したいなんてカッコつけてきたけど…俺も嫌なんだよ。お前が他のやつと生きていくって想像をしただけで吐き気がする…だから…俺だけのものになって」
「はい!」
店長は本当に嬉しそうに笑うと俺を抱きしめてくれた。
「もう…離してやれねぇぞ。覚悟は?」
「できてるよ。俺も藍玉さんを離さないよ。後悔しない?」
「するわけねぇだろ」
二人で額をつけて何度もキスを繰り返す。それだけでオレの心はほろほろに溶けていく。幸せな気持ちで目を閉じた
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