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おずおずと振り返ると、視線が合う。 ゆっくりとキスされて、優弥が何度目かの息継ぎをしたとき、龍樹の手が素肌に触れた。 体温の高い龍樹がシャワーを浴びたばかりなのに、いつもよりもその指先が冷たい。それが緊張からと悟と、途端に胸の内に愛しさが溢れて歓喜の声を上げた。 「龍樹くん…っ!」 龍樹の手は優弥が寝巻きにしているTシャツの中をするりと撫でて、ぞわぞわともどかしい刺激を与えていく。触れられたところから順に発火したように身体が熱くなってギュッと目を閉じると、目尻にチュッと触れるだけのキスをされてあっという間に脱がされてしまった。 冷房の効いた部屋に晒された上半身がふるりと僅かに震える。 設定温度を上げようかと思ってちらりとリモコンを見たが、それを手にすることはなかった。 「どうせ暑くなります。」 欲望を隠しきれていない声でそう優弥を制した龍樹の言った通り。 龍樹が優弥のうなじにしっかりとついた噛み跡をべろりと舐めたその瞬間にはもう必要ないほどに身体が熱くなった。 冷えた室内の空気にツンと主張する胸の尖りに触れる右手も、その手の動きにいちいち跳ねる背中を撫でてくれる左手も温かくて優しい。けれどうなじの噛み跡をなぞる舌だけが、熱くて獰猛だ。 時折舌先でグリグリと抉るのは、消し去りたい過去の遺物。火傷の跡だ。 「龍樹、くん…そこ、やめて…ッ!」 「ほんと、見る度に反吐が出ますねこれ。」 「ッ…んなこと言われても…あっ!」 「俺だけのうなじだったはずなのに。」 カリッと甘噛みされて、全身に電流が走る。優弥は堪らず腰を捻った。 「…これのおかげで理性が飛んだから番になれたっていうのが、また腹立ちます。」 龍樹がこのうなじの火傷の跡に複雑な思いを抱えているのは知っていた。そしてそれをどこかで嬉しく思っている自分がいる。 淡白な龍樹が、独占欲を剥き出しにしてくれるのが、嬉しい。 火傷の跡は下衆なβによる性質の悪いイジメがもたらした不幸の印だが、今ではそれに感謝さえしたいくらいだった。 これのおかげで、龍樹のものになれたのだから。 「…龍樹くんのものだよ。全部。」 そう言いながら、優弥は下肢を覆っていたジャージと下着を脱ぎ捨てた。 そう、全て龍樹のものだ。 うなじも秘孔も、頭のてっぺんから爪の先、身体の中に至るまで。 複雑な思いが胸の内をぐるぐるしているだろう龍樹の困ったような苦笑が可愛くて、コツンと額を合わせて笑い合う。 なんて幸せなんだろう。 龍樹の少し骨張った指先がローションを纏ってゆっくりと花蕾を綻ばせるのを瞳を閉じて味わいながら、優弥は徐々に身体を侵食していく快楽に身を任せた。

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