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第35話〜幕間〜

熱いシャワーを浴びてほかほかと湯気の立つ身体に、冷蔵庫で冷やされたミネラルウォーターが浸透していく感覚。 なんとも贅沢だと思う。 水無瀬は一気にペットボトルを半分ほど飲み干すと、ベッドで安らかな寝息を立てている水樹を見て、安堵の溜息を漏らした。 水樹は薬の効きにムラがある。 全く普段と変わらない調子で発情期の時期を過ごせる時もあれば、今回のようにまるで薬が意味を成さない時もある。 そしてそういうときは必然的に自分が相手をしなければならないのだが。 ただただ獣のように互いを貪って、疲れたら寝て、空腹に耐えかねて何かを胃に入れたら、またセックスする。 水樹と相性が悪いわけでもなくセックス自体も嫌いじゃないが、ひたすらそれを繰り返すだけのこの期間があまり好きでは無かった。 水無瀬はベッドに近寄った。 ついさっきまでもう辛いもう嫌だと泣きながら絶頂を繰り返していたとは思えない、あどけない寝顔だ。 くすりと小さく笑みを零すと、さらりと水樹の髪を梳いてみると、その手触りはほとんど同じだ。 「…馬鹿だね、兄弟揃って」 くすくすと小さな笑いが止まらない。 綺麗なガラス玉のような瞳を細めて微笑む姿は正に天使のよう。 「僕みたいなのに捕まって」 ふんわりとした細い髪の毛は手触りがいい。 水無瀬は遠慮なくそ髪を弄び、時折涙の跡が残る頬を撫でる。 「可哀想に」 バチッと目が開いて。 そしてすぐにじとりと睨まれた。 相変わらず眠りが浅い。 あまりに予想通りの反応で、また笑ってしまう。 「なに…」 「うわ、すごい声」 「誰のせいだよ」 「君でしょ?」 悪怯れなくそう言うと、水樹は寝返りを打って背を向けた。 動いた瞬間に辺りに広がる甘い香りは、発情期特有のフェロモンだ。 今は勢いを失っているが、そう時間のたたない内にまた増大して、自分を狂わせに来るに違いない。 そうしたらまた馬鹿みたいに交わるしかないのだ。

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