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心は大人です
「双葉さんは僕を、その…、少しは、欲しいと思って、くれます、か?」
「…秋」
「ぼ、僕はまだ、発情期は来てませんけど。でも、でも。 こ、心はとっくに大人です、よ」
「……ああ、そうだね。秋は立派な大人だよ」
「そうです。…それに、僕は双葉さんの奥さんですよ。奥さんなんですから、だ、旦那様にご奉仕するのも努めでしょ?」
「秋、それは」
「だ、駄目ですか? 双葉さんはまだ、僕を欲しくなりませんか? 僕、…僕は、双葉さんがほ、欲しいです!」
言ってしまった。とうとう口に出してしまった。醜いと思われただろうか…、卑しいと嫌われただろうか…。怖い。怖くて寒くも無いのに身体が震える。
「秋」
ビクッと肩が跳ねる。いつにも増して、名前を呼ばれた反動が心臓を叩く。ドキドキが止まらない。
「お前は今、自分がどんな匂いを出しているのか、分かっているの?」
…え? 僕の匂い?
「……わ、分かりません。 …どんな匂いなんですか?」
どうしよう…。変な匂いだったら…。双葉さんの嫌な匂いだったら……嫌だな。
「目を開けて。秋」
ギュッと綴じたままだった瞼を、ゆっくりゆっくりと開けた。
「…、あ。 ……ふ、双葉、さん、…あの」
「お前があんなに情熱的に煽るからだ」
双葉さんのソコは緩やかに勃ち上がり、あまりの立派さに僕の目は釘付けになった。
「あの…、僕は、…どう、したら。…お、っん、んんっ」
教えて下さい、と言おうと開いた口を、双葉さんの口に塞がれた。
結婚式の誓いのキス以来の唇へのキスだ。
頬やおでこに当てるだけのキスでもなく、ましてや誓いのキスでもない。
た、…食べられてる。
僕の知ってる優しくて穏やかな双葉さんとは、まるで別人なんじゃないかと思わせる、荒々しくて激しくて息も出来ないくらいのキス。
「んんっ…ん、……んんっ」
「秋、鼻で息をして」
荒い息遣いの合間に、囁く様に双葉さんの声が鼓膜を震わす。絶え絶えの息継ぎをはふはふと続ける僕を、抱きかかえる様にして浴室から連れ出すと、普段はあまり入る事のない双葉さんの寝室へと運ばれた。
濡れたままの身体をベッドに横たえると、双葉さんが覆い被さる様に視界を塞ぐ。軽く触れるだけのキスを数回繰り返したあと、いつの間に持って来ていたのだろう、大振りのバスタオルで僕を包むと、もう一枚で雑に髪を拭き始めた。
「あ、…の、双葉さん。もう、お終いですか」
「終わりにして欲しい?」
「っ、嫌です。そんなのっ嫌です」
「…俺もだよ」
あ、と思った時にはもう唇を吸われていた。さっきまでの荒々しい噛み付く様なキスでもなく、なんて言うか…、とても官能的なキスだ。
双葉さんは僕の口腔を舐める様に、掻き混ぜる様にぬらぬらと厚めの舌を動かす。くちゅくちゅと下半身を刺激する水音が、自分の口の中から頭の中に直感響いてくる。
双葉さんの大きな掌は、僕の薄っぺらい身体を這い回る。抱き締める様に背中に回していた掌で、腰から脇腹を撫で回し、次にお臍の上を通って激しく鼓動する胸の上へ。
「ふ、ぁ、…んっ」
小さな胸の突起で指を止め、次に指の腹で弾く様に悪戯をした。いつか赤ちゃんが生まれるまで、触る事も意識する事も無いだろうと思っていた場所なのに、どうしてか…そこを弄られると腹の奥が切なく疼く。
「ここが好きか、秋」
「あ、あ…、わかりま、せ…っん…、んあっ」
双葉さんの意地悪な指が、敏感になった僕の小さな乳首をキュッと摘んだ。
「ど、ど…して、っぁん…あ、あっ、あっ」
「気持ちいいんだね」
「あん、あっ、…んんっ、あっ、」
「秋、言ってごらん。気持ちいい、って」
「んっ、…あ、いぃ、…気持ち、い、いぃ…っん」
クスクスと双葉さんが笑う。僕はもう息も絶え絶えだ。むず痒い様な甘怠い様な感覚に、ハァハァと荒い息を吐き、絶え間なく与えられる胸の刺激に、あ、あ、と言葉にならない甘い声を出す。
腰が自然と捩れる。もう我慢できない。さっきから僕のささやかな雄の象徴は、可哀想な程反り返り、腰を揺らす度に腹の上にだらしなく涎を垂らしているのだ。…そしてその更に奥の、隠された秘孔からは、ぬるぬるとした愛液が溢れている。堪らず膝を擦り合わせる。
「あ、あっ、ダメっ!、あっ、ダメですっ」
双葉さんの大きな掌が、僕の陰経をすっぽりと包み込んだ。
「ひぃっ、んんっ!あっ、ああっ、い、いやっ…いやっ!」
「違うよ、秋。教えただろう? 気持ちいい、だ」
「あっあっ、ああ…、ん、ぃいっ、あんっ!いいっ!き、気持ちー、…よ」
「いい子。さぁ、イッてごらん」
双葉さんの手が僕を追い詰める。先端からちろちろと溢れる先走りを潤滑油にされ、ぬちぬちといやらしい粘ついた音に、耳の中まで犯されているようだ。
「あっあっ、も、もう…ダメっ…も…」
「いいよ、イッて」
双葉さんはそう言うと、再び僕の口を塞ぎ舌を吸い上げる。陰経をねっとりといやらしく扱かれ、僕はあっという間に絶頂を迎えた。
初めて自分以外の手で欲望をコントロールされた僕は、激しい虚脱感に襲われそのまま意識を失う様に深い眠りに就いたのだ。
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