8 / 26
新婚旅行〜②
お風呂から上がると、双葉さんもようやく一段落ついたようだ。浴衣に着替えてお茶を飲んでいた。
「もうお仕事はいいんですか?」
「ああ。終わったよ。 秋」
ドキンとした。この頃僕は、双葉さんに名前を呼ばれるだけで心臓がドキドキする。
「ここへおいで」
お腹の辺りがきゅっとする。普段のスーツ姿も物凄く素敵だけど、見慣れないせいか、浴衣姿の双葉さんはいつも以上に格好いい。何ていうか…色っぽい?、感じ。
隣へ誘われ素直にそこへ座る。温泉でぽかぽかに温まった身体が更に温度を上げた気がする。
「顔が赤いな。逆上せたんじゃないか」
逆上せたんだとしたら、それは温泉ではなくて双葉さんのせいですよ。
「す、少しだけ。でも平気ですよ。双葉さんも折角ですからお湯に浸かって来てください。疲れが吹き飛びますから」
「そうだな。そうするか。秋はちゃんと水分補給しときなさい」
「はい、分かりました」
いい子だね、って頭を撫でる双葉さんを見送って、ほぅ…と息を吐いた。僕はドキドキしっぱなしだ。この旅行の最中、ずっとこんな調子で大丈夫だろうか。主に僕の心臓が、だ。
ともだちにシェアしよう!