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第7話 僕は粗大ゴミ。 7
「勿体ないな」
僕を覗き見る男がいて、なんとこれまた男前。
でも何でこんな雑居ビルとラブホ街と住宅街の間で着物姿なの?
まぁ、気を取り直して僕はいつもの金曜日に使う手を使った!!
「そうそう、僕は勿体ないよね!!こんなに『美しい』のに」
「少しだけ汚れているが勿体ない。捨てる気持ちが分からんな、このソファー」
「ソファーかよっ!!」
僕は盛大に突っ込んだ。
「月曜日から良いご身分だな、少年。日曜日は空けた、平日モードに切り替えなさい」
凄い無表情だった。
「僕はあんたが勿体ないね。せっかく男前なのに、仏頂面でさ。モテそうなのに」
僕は無礼な男前に遠慮なく口を開いた。
「私は週末に夜遊びが出きれば良い」
「月曜の朝だよ、仕事はいいのかよ?……上等そうな着物着てるのに週末に夜遊び?『いい大人』なのに」
「子供には分からないことだ。大人には事情がある」
なんだコイツ……スゴくムカつく。
「僕の事情だってあんのに、なんだよっ!!」
今会ったばっかの男に僕はイラついて、顔面を殴ってやろうと思ったら、あっさりかわされた。
「これはすまない。私は朝『場の空気が読めない』低血圧だ。あと顔を殴るのはやめてくれないか、一応人の前に出る職業だしな」
『場の空気が読めない』?
なんだそれ、意味不明!!
「私の家にはソファーはないから珍しいのだが。だがここにいたらゴミを片付ける人に迷惑がかかる。私の家に来るか?」
「は?」
なに言ってんだコイツ?
意味不明どころか訳が分からん!!
「粗大ゴミになりたいのか?」
……コイツなんなんだよ。
要するに最初から僕を助けるつもりだったんじゃん!!
僕が『捨てられた』の分かってたんだ。
「こんな粗大ゴミ月曜日に拾うなんてさ、……アンタ物好きだねー」
僕はウソをついた。
……本当は物好きじゃなくて『ありがとう』と言いたかったけど、僕はそんなキャラじゃないし、プライドが邪魔して言えなかった。
『粗大ゴミの僕』は、こうして訳分かんない男前に拾われた。
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