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第10話 粗大ゴミからの脱却だけど。 3

「そうだが、何か問題でもあるか?」 問題……僕には問題はないというか好都合。 というか、それがフツー問題じゃないのか?! 「もっ……問題に考えないほうが問題じゃないの?」 僕は今まで…週末の物好き以外には受け入れて貰えなかった。 ただ僕が『美しい』から、『美少年だから』受け入れてもらってたし。 受け挿入れる方は僕だけどね。 まぁそれは置いておいて、この兄妹フツーじゃないんだろうな。 「朝御飯出来ましたよ」 さっき勝手口の台所で朝メシを作ってた婆さんが居間に顔を出した。 すると泣き止んだ赤ちゃんが、匂いに反応したのか腹を鳴らして手を伸ばした。 「俊さんのご飯は離乳食ですから、これとは違うんですよ」 なんかこの赤ちゃん、何だか食い意地張ってそうな顔してるような気がする。 「あ、そーだ、名前!!僕この男が『紅葉』って名前だってことしか知らないからさ、教えなよ」 「……あの『教えなよ』、とはなんですか?」 何か美少女の顔が鬼のように変化して、僕の美しい顔が引きつるのを感じた?! 「名前を聞くときは『聞いた方から名乗る』のが常識です!!」 「なっなに……?この人ものスゴく怖い!!」 「だいたい『教えなよ』ではないです!!言い直しなさい」 この美少女、何だかうちの親父より怖い表情で僕は慌てて言い直した。 「……『教えて下さい』!!」 「貴方の名前は」 「……ヒカリ。いっとくけど源氏名とかじゃないから」 「それを言うなら『仮名』です」 美少女は溜め息をついてから落ち着いた声で、 「私は小雪です」 そう名乗った。 次に婆さんが 「春海です。婆さんでは嫌ですから春海さんって呼んでくださいね、ヒカリさん」 「赤ん坊は俊だ」 紅葉がそう言った。 紅葉に小雪、春海、それと俊か。 そう、この赤ちゃんだけ妙に引っかかる名前だ。 「皆何で季節に関係してんのに、この子だけ違うの?」 沈黙が数秒流れていく。 僕は触れちゃ行けないこと言ったのかな。 婆さん……じゃない春海さんが笑って言った。 「家族は色々あるものですよ?さぁ、……ご飯食べましょう」 はぐらかされたか、教えたくない秘密があるのか。 「ところで俊って誰の子なの?」 「私です」 答えたのは小雪だった。 「へぇ?……あんたいったいいくつなのっ?!」 「ピチピチの17歳ですよ」 っ僕とたった1つ違いじゃん!! 「私と俊さんを見たら人一目で『母子』だと分かるくらいの可愛さですよね?」 この家族は『どこか可笑しな家族』だった。 まだ知り合って数分だったけど感受性の強い僕はその違和感だけは分かった。

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