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第15話 家族に色々あるのは僕もそう。 5

「あー!」 僕は今日生まれてはじめて赤ちゃんという生き物をを抱っこした。 「わっ、やめてよ俊!!『美しい』からって僕の髪を引っ張らないで」 「有難う御座います、ヒカリさん。私も今日から修行に本格的に戻れます」 この家で一番威厳のある小雪の赤ちゃん、俊の面倒を僕が見るハメになってしまった。 「僕赤ちゃんの面倒の見方なんて知らないから!!……責任は取らないからねっ」 俊は僕の頬っぺたをペチペチ叩いた。 赤ちゃんって分かんないし、……なんなのもう!! 「なんだよー、僕も小雪の赤ちゃんの面倒なんて不満なんだから俊も我慢しなよ」 「ヒカリさん、私は『小雪さん』です。」 「はぁい、小雪さん」 僕は素直に訂正してあげた。 「なんでこの『美しい』僕が、俊の面倒見てあげないといけないの?!」 俊は僕の髪をまた引っ張った。 「赤ちゃんはどうやら自分が産んだ母親と他人の顔を比べているみたいです。俊さんはヒカリさんと私を比べているんです」 ………ふーん、なら。 「俊は僕と小雪さんどっちが『美しい』と思う?」 「……う?あー、まんま」 すると小雪さんは勝ち誇ったように笑った。 「俊さんの『まんま』は私のことです。ヒカリさんに勝てて嬉しいわ」 お前……見る目ないよ、俊。 「オムツはここです。さっき教えましたから、大丈夫ですね!!」 「小雪さん僕バカだから。教えられても分からないこともあるよ?!それだけはは覚えててね」 「……何か困ったことがありましたら修行場に来ても良いですけど、俊さん以外のご用は厳禁です。修行に来ているお母さんと兄さんの御弟子さんが、たまにこちらに来ますが『貴方の仕事をされてください』」 そう言って小雪さんは俊を一回ぎゅっと抱いた。 「俊さん『まんま』は頑張りますからね。淋しい思いはさせませんから安心してください」 このやり取りを見て、やっぱりこの母子は何かあると僕は思った。 「俊さんが麦茶に手を伸ばしたらあげてくださいね、一度に沢山はあげては駄目ですよ」 「あーはいはい」 「12時半にはお昼で戻ります。ヒカリさん、きちんと見てくださいね」 小雪さんは修行場とやらに行った。 多分あの大きめの離れ屋だよね……修行なんのだろ。 「俊、お前の母親しっかりしてるね……僕の母親とは大違い」 俊は4月で一歳になったらしい。 小さい手を開いて、俊は麦茶が入っている蓋にストローがついているコップに手を伸ばした。 「ちゃー」 「麦茶?はいはい。潮吹いちゃうから飲み過ぎダメだぞ」 渡したら、コクコク音を立てて飲んでいる。 「意外とお前可愛いじゃん。……オッサン僕のこと見て、可愛いって思ったのかな」 僕は言われた通り、俊のコップを取り上げた。 「やー!!のんの」 「飲み過ぎて将来水っ腹のデブになったら、『美しい』僕は抱かせてやらないからな」 そう言ってから僕はなんとなく積み木を渡したら受け取った。 俊は積み木遊びをし始めた。 「……ねぇ、俊の父親ってどんなヤツ?」 なんでここに居ないの? 一緒に住んでないの?

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