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第18話 考えたくない。 3
「凄い美味しかったなぁ、茶漬け」
昼飯に軽く食べた茶漬けの感想を僕が素直に述べたら、春海さんは笑顔になった。
「だし汁が良いの。でもヒカリさんにも少しは手伝って欲しいわね」
「僕の仕事は俊の面倒をみること。一生いても良いなら考えてあげてもいいけど、僕は料理は出来ない し」
永久就職というやつ、一人の人を愛すことは僕にとって憧れだった。
でも僕はどちらかというと尽くされたいから料理を作るほうは向いてないかな。
「きゃー凄いですよ、俊さん!!今たくさん歩け進めましたね」
「まんま!!ちゅき」
そうそう、僕が麦茶で釣って俊を歩かせたらか追いかけてきた。
どうやら歩くコツを覚えたらしかった。
すると春美さんは、あきれたように僕と小雪さんに言った。
「小雪さんは俊さんを甘やかしすぎなの。一歳で子供は普通に歩くものです」
えっ?!
そうなの?
「俊さんは私の大切な息子です。転んで怪我でもしたらお母さんは責任とってくれるんですか?」
小雪さんは俊のことを大切にしてるみたいだけど、 ちょっといきすぎているようで怖い感じがした。
普通母親ってそんなもんなの?
それから小雪さんは僕の浴衣を指摘してきた。
「それにしてもヒカリさん浴衣ぐちゃぐちゃね」
「寒くないし羽織れればいいよ」
「紅葉さんは何も言いませんでした?」
「え?俊を見てる最中はセックスするなって言われたけど」
「……ヒカリさん」
スゴく困ったような顔をしていた。
「もうしないよ。俊は小雪さんの大切な息子で、僕の仕事は俊を見ること!!守れなかったらここから追い出されるし」
僕は追い出されたくない、頑張ろう……。
だから僕は今は余計なことは考えない。
違う、僕は今は『考えたくない』、それだけだった。
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