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5.5日目/1

 再びそこへ戻ってきたのは、それから1時間足らずのことだ。すっかり空は太陽の光を帯び始め、見上げるには目を細めなければならなかった。  一応インターホンを鳴らした方がいいだろうか。でも勝手に入って良いと言われたしな…もし眠っていたのなら、鳴らした方がかえって迷惑かもしれない。  扉の前で数分間悩んだ結果、静かに鍵を差し込むという結論に至った。 「…入るぞ」  返事の聞こえない、冷たい部屋。さっきまで倒れていた場所に青年の姿はなく、散らばっていた缶や錠剤は一箇所に纏められていた。  これを片付けたと言うには…少々無理があるが、一歩も動けない程じゃなくて良かった。  予想通り部屋を移動していた彼は、すぐ隣の部屋で倒れている。  ベッド前までは辿り着いたものの、よじ登る力は無かったらしい。カーペットの上で百点満点の…土下寝。 「生きてるか?」 「…死んでる」 「生きてるな。さ、ベッドまで行こう。抱えるぞ」 「……はっ。聞いちゃいねえ」  肩を持ち上げれば、自らの意思で俺の首に腕を絡める。文句つける癖に言う事は聞いてくれるんだよな。 少し酒臭い息が頬にかかり、まさかさっきの残りも飲みやがったのかと呆れたその時。 「ひぁ…んッ!」 「っ?!」  彼の口から今まで聞いた事もない甘ったるい声が漏れた。抱き上げる際に触れた脇腹が原因だったと気がつくのはそのすぐ後のこと。  忘れてた…倒れていた理由。直接的なのは好き放題飲んだ解熱剤、睡眠薬と酒のせいだろうが、そもそもそれを飲む必要があったのは…客に仕込まれていた媚薬だったのであって。 「わ、悪い…その、他意は無くて……」 「んっう…早く、して」 「あぁ…」  そんな声で言わないでくれ。そんな顔で見ないでくれ。火照りが俺にまで伝染しそうだ。  枕の位置にピンポイント…は難しかったものの、ひとまずベッドへ寝かせる事に成功し、息をつく。しかし、青年の腕は未だ俺に絡みついたままだ。 「…手、離してもいいんだぞ」 「俺…言ったよね。次来たら……って」  潤んだ上目遣い。唾液で湿った唇。真っ白な肌ではよく目立つ、桃色に染まる身体。  俺の理性を破茶滅茶に崩すには十分すぎた。  今、ようやく気づいたよ。初めて自覚した。  俺は君のことが──。 「俺にしてやれる事なら…なんだって聞いてやる。君が死ぬ事以外なら」 「……そーね。じゃ、服脱がせて…暑い」 「わかった」  Tシャツの裾に手をかけた。なるべく刺激しないように、しかし意識してみても上手くはいかず。 「ふぅ…あッ。…待って、も…ゆっくり、ぃ……!」  こんな彼を見て興奮するなと言う方が無理だ。  スムーズに脱げるよう本人も腰を浮かせてくれるが、そのせいで逆に勃起が良く見える。ビクビクと震えるそこを見ないよう、最後なんて目まで瞑って。 「…次は、何をして欲しい?」 「はぁ……っ、はぁ、じゃ…ぎゅってして…」 「わかった」  青年の伸ばした腕に導かれ、遂にベッドへ乗り上げた。

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