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5.5日目/3
自身も掌を拭き取り、早々に立ち上がった。腕時計に目を向ければ、まだ少し時間に余裕はある。が……一つ、やらなきゃいけない作業も増えたし丁度良いか。
「もう行くの?」
「ああ。君も元気になったみたいだからな」
いつまでも下着を半分ずり下げた君の無防備な姿を見ていると、こちらもそろそろ耐えられなくなりそうなのでね。
近くの公衆トイレ…でいいか、もう。あまり人に見られないうちに済ませられれば何処でも良い。
「あ、そうだ。俺は土日休みを貰ってるから今晩の配達には来ないけど、くれぐれも死のうなんて考えるんじゃないぞ。いいな!」
「死なない死ななーい。バイバイ」
玄関でそれだけ言うと、重たい扉を開けて家を出た。そうそう、いい加減気になっていた名前をっと。
“常葉”……つね…じょ、じょう…?うーん、読めない。また今度、聞くとするか。
* * * * * * * * * * *
何カッコつけてんだよ、ばーか。勃ってたの…気付いてんだからな。
死にたくなくなるような事してくれるなよ。もっとおっさんと居たいって…思わせるのは辞めて。
「死なないよ。“今日は”…ね」
台所に立ち、随分使っていなかった埃を被った包丁を眺める。
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