運転しながら何度もコールしてメールも送って…今じゃ絶対に出来ないけどあの頃は法律が制定されていなかったから殆どの人がやることだった 夜中だからか車もいなくて高速道路のようにばんばん飛ばしてきてしまった。通常なら一時間程度かかるはずなのにその半分くらいで目的地に着いてしまった。 しーさんが教えてくれた自宅近くのファミレスだ。駐車場に停めてもう一度コールすると1コールも鳴らないうちに相手が出た ｢もしもし…｣ ｢しーさーん!!｣ ｢へ？何で？｣ 間の抜けた返事に力も抜ける。本当に…可愛らしい人だ… ｢何でって何ですか!!直ぐ折り返したのに電話で出ないしメールも来ないしで心配したよ!!｣ ｢えと…ごめん…風呂に…｣ よかった…風呂か…そういえば幾分か目が覚めたような声だ。風呂…風呂って事は…いやいやいや…俺は何を妄想してるんだ…頭を振って邪な妄想を追い出す ｢えぇ!!そうなんだ。そっか…よかった。｣ ｢さっき変なこと言っちゃったからもう連絡したくないものだと…｣ ｢変なことってなぁに？俺は一人で可愛いこというしーさんに悶えてたのに｣ ｢え…｣ 思わず本音が零れたけれどしーさんはきょとんとして首をかしげていそうだ。自分に自信が無いって教えてくれたから自身が可愛いと言われるなんて思わないだろう ｢だから会いたくなって家わかんないのに近くまで来ちゃったじゃん！あのファミレスの近くって教えてくれたからさ。いつもの半分の時間でついちゃったよ｣ ｢え？｣ この｢え？｣はきっと鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔してるんだろうな…顔もわからない彼の表情を想像したら何だかおかしかった ｢今そこのファミレスの駐車場にいるの！しーさん明日は仕事？｣ ｢休み｣ ｢俺も休み！だから遊ぼ！眠いなら無理はしなくていいからね！こっちで今も遊んでる友達大勢だからそっちと合流もできるからさ…｣ そう言ってはたと気付いた…俺気持ち悪くねえか？連絡取れないからってこんなとこまで来てしまうなんて… ｢あ!!…ごめん…いきなり来ちゃって…気持ち悪いよね…ごめんっ！！あぁ!!考えなしだった!!恥ずかしい!!ごめんなさい｣ 気味悪がられてもう連絡が出来なくなったらと思うと悲しくなった。少し間を置いてしーさんが口を開いた ｢本当に…考えなしだね。ともくんの家からあの時間に出てもう着いてるとか…相当飛ばしたでしょ!!危険だよ!!」 ｢ごめんなさい｣ 怒られた…しゅんとしてしまってもうこのまま帰ろうかと口を開こうとしたら ｢ともくんに何かあったらどうするの!?｣ その言葉に何だか感動した。俺のことを思って叱ってくれたんだ… ｢だって…｣ ｢でも…わざわざ来てくれてありがと…着替えてくるから少し待っててくれる？｣ よかった!!!嬉しくて叫びそうになるのを必死に耐え待つことにした ｢うんっ!!!｣