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第4話
しーさんを助手席に乗せて車を発進させる。実はこの車に乗せるのはしーさんが初めてだ。他の誰かを乗せる気なんてない。だって…俺の唯一の場所だから…
しーさんは物珍しそうに車を見渡していて色々質問してくれた。俺は車が大好きだ。興味を持ってくれるのが凄く嬉しかった
しーさんは車には疎くて持ってはいるが詳しくは無いって言ってた。エンジンオイルの交換時期とかタイヤの交換時期さえわからないと言われたときは驚いた。それはかなり危険だ…けどそんな恥ずかしそうに呟くしーさんもやっぱり可愛くて…どうしようもなく胸が痛かった
少しドライブしてネカフェに入る。いろんなことをして遊んだ。しーさんはスポーツも苦手だった。鈍臭さが隠せて無くてそれも可愛かった。うまくいかないと子供みたいに地団駄を踏む姿さえ愛おしかった。カラオケもしたんだけどこれにはすっごく驚かされた。可愛い顔から出される幅広い音域。伸びのある声。歌が大好きなんだなってビシバシ伝わってくる。俺はすっごく古い歌しか知らない。だから悪友たちとカラオケに行くとだいたいネタにされるんだ。けどしーさんは小さく一緒に口ずさんでくれた。
「この曲知ってる!かっこいいよねぇ!俺はこの時代の歌が今の歌より好き!」
「俺も!俺は最近のが全くわからないだけなんだけどね。」
「それでいいと思う!すごくうまいね!!」
二人でワイワイと盛り上がる。こんなに俺の歌う曲たちを喜んでくれてニコニコしながら一緒に楽しみながら聞いてくれることが本当に嬉しかった
カラオケしてる最中少し眠くなったのか声が甘くなってきた。
「しーさん。眠い?」
「眠く無ぃ」
明らかに瞼が閉じそうなのに必死で起きてようとする姿にまた心を奪われる。幸せだ…けど…苦しい…
そんな気持ちを悟らせないように明るく声をかける。
「本当に?そろそろ送ろうか?」
「だいじょぶ…もっと一緒にいたい」
ふにゃふにゃしながらそういうものだから俺の理性は壊れそうだ。そんな風にお願いされたら断れるわけもない…
「しーさん。俺映画見たいから行こう」
「ん」
俺だってもっともっと一緒にいたい…もう…二度と離したくない…そんなの叶わない願いだけれど。
ゆっくり立ち上がるとしーさんが少しよろけた。転ばないように少し支えてあげるためさり気なく腰を抱くけどそれには気付いてなさそう。そっと腰を擦ると
「ん…」
小さく鳴いた…ヤバい…可愛い…
個室に移動して一本の映画を再生する。何度もテレビでも放映されている映画だ。
「しーさん。こっち」
二人がけのソファーに腰掛ける。しーさんを壁側に座らせた。内容なんてあんまり入ってこない。だって無意識にしーさんが俺に寄りかかってくるから。
ドキドキしながら暫くするとしーさんは俺に身を預けて寝息を立て始めた。やっぱり眠かったんじゃん…寝顔はあどけなくて真っ白な頬は少しピンクに染まってて美味しそうだ…揺すっても動かないしーさんを撫でてそっと頬にキスした。それでも動かないから頬を撫でて指先で唇をなぞる。その小さな唇にもそっとキスした。ねぇ…しーさん…好きだよ…会ったばかりで何言ってるっんだって思われるだろうけど好きだ…でもさ…この気持ちは貴方には一生伝えるつもりは無い…伝えたらきっと何もかも壊れてしまうから
今度は深く味わいたくて小さく開いている唇に舌を差し込むけれど小さく息をしただけで目覚めなかった。一度眠ったら深く落ちるタイプの人なんだな…きっとこれまでの人もこの人のこんなに無防備な姿に欲情して切り開いていったのだろう。それが少し羨ましい。暫くしーさんを味わう。何度唇を重ねても飽きなくて…
しーさん。こんなんじゃ心配だよ。悪い男に食べられちゃうよ
一通りしーさんの味を堪能してテレビ画面に視線を移した。そっとしーさんの一回り小さな手を握って
しーさんが起きたのはそれから15分くらいしてからだった。気付かれないように手を離す。
本人は寝ていたことに気付いて無くてそんな天然なとこも可愛かった。
「しーさんこの映画終わったら帰ろ」
でないと俺はこのまましーさんを襲いかねない。
「へぇ?何で?とも君これから戻るのしんどくない?少し俺んちで寝ていけば?」
「誘ってんの?やーらし」
「そんなんじゃないし」
拗ねたように呟いて本人は無意識だろうが俺の服の裾をキュッと掴んでいた。
「来て欲しいの?」
そう言うとぱっと表情を明るくして微笑む。そしてうなずいた
「うん」
そんな可愛くお願いされたら行くしか無いじゃん…
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