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第2話 二人のバレンタインデー2

 そして今日は俺たちが出会ってから初めてのバレンタインデー。  俺はショッピングモールに入っている人気チョコレート専門店を、すぐ傍にある柱の陰からがん見していた。  人気店だけあって女の子がたくさん群がっているし、次から次へとチョコを買いに来ては去って行く。  なんで俺がこんなところでいるかというと、そう。陽馬にチョコレートをプレゼントするためだ。  俺と陽馬の関係から行くと、本来俺がチョコをもらう側のような気もするけど、一説によるとバレンタインは女から男へチョコをあげるんじゃなく、好きな人にチョコをあげる日だとか。  母さんにそれとなく聞いたところによると、陽馬は今まで女からチョコを貰ったことはないそうだ。  ということはバレンタインチョコを贈るのは俺が初めてということ。  陽馬の初めては全て俺が貰う!  心の中で誓う俺の傍をチョコレートを買ったばかりの女の子たちが立ち止まっては見て行く。  中には買ったばかりのチョコを片手に逆ナンをしようとしてくる女の子たちもいて油断がならない。  いけない、いけない。早く行かなきゃ。  俺は意を決するとチョコレート専門店へと歩き出した。  女の子の群れの中へと割って入ると、もう穴が開くほど見られ、あちらこちらでひそひそと噂される。 「えっ? G校の佐藤君!?」「嘘、ほんとだ! 超かっこいい」「どうしてこんなところにいるの? ううん、何でもいいわ。このチョコ渡しちゃおうかな」「でもさ、佐藤君ってチョコレートを受け取らないって有名だよね……」  目立つことにも見られることにも慣れている俺は彼女たちのそんな囁きも気にすることなく、ショウウインドウに並べられたチョコレートたちを見た。  ……うーん。やっぱりこっちの洋酒きかせたほうのがいいよな。  数は……十五個入くらいが一番見栄えするかな。  女の子たちの中でかなり浮いているのを自覚しながらも、陽馬のことを思い浮かべ、陽馬のためにチョコを買うことにこの上ない幸せを感じていた。  可愛くラッピングされ、可愛い袋に入れられたチョコレートを頬を染め俺を見つめる女性店員から受け取ると、俺はそそくさとその場から離れ、家路を急いだ。

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