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7.閃光
俺は、焦りに押されてイムノスのそれを手に取った。
ルスにこれ以上痛い思いはさせたくない。
その為なら、きっと、このくらい、何でもない。
それで……俺がルスに、嫌われるとしても……。
ルスのより細くて、ルスのよりちょっと長いそれを自分の後ろにあてがう。
「レイ……」
ルスの、小さな小さな声が、聞こえてしまった。
ルス……。
ごめんな……、ルス、ごめん……。
少しだけ、目を閉じていてくれよ。
俺、ルスのためなら、頑張れるからさ……。
体重をかければ、それはズズズと俺の内側を擦り上げて、中へと深く入り込む。
「ん……、ぁ……ぁあぁ……」
甘く痺れる感じが全身に広がる。
薬ヤベェな。
何されても、めちゃくちゃ良い。
これ以上の快感を感じる事への恐怖を抑えながら、俺は腰を揺らした。
「ぅ、ん、……っ、んんんっ、ぁぁあああんっ」
自分で揺らしてんのに、目の前がチカチカするくらい感じる。
まだゆっくりってくらいなのに、もう、イキそうでやばい。
「は、ぁ……ぁん……っ、イム、ノス……俺……も、ぅ……っ」
勝手に上がり続ける息の合間からなんとか伝えると、イムノスがニヤリと目を細めた。
「隊長は、可愛らしいですね……」
俺の手首から繋がる鎖をイムノスが引き寄せれば、俺の身体はイムノスの上に重なった。
「ぅあぁあんっっ!」
角度が変わって、イムノスのものが俺のいいところに当たる。
背が震える。起きなきゃ、これはヤバい。
焦る俺を、イムノスはそのまま下から突き上げた。
「んんんっ! ぁああぁんんっっっっっ!!!」
一瞬で目の前が真っ白になる、内側がぎゅうぎゅうと収縮を始めて、息が詰まる。
「もう達してしまったんですか? 私のもので……? ルストック隊長はどう思ったでしょうね……?」
イムノスが嬉しそうに囁く。
っ、うるっせーな、お前が薬盛ったからだろ!?
ああ……ルスの方を見るのが怖い。
俺の事、呆れた顔で見てたら……、俺もう立ち直れねぇよ……。
視界がじわりと涙で滲む。
不意に、力強く下から突き上げられた。
「ぁぁんんんっっ!!」
自分で思うより、ずっと甲高い嬌声が溢れる。
「やぁっ、め……っっ、まだ、イって、る……ぅ……っ」
イムノスは俺の涙を滲ませた嬌声に煽られるように、ぐいぐいと俺を突き上げる。
「ぁ、あ、あああっっ、だ、め……っんんっ、だめ、だ……ぅっっ」
イムノスが、俺の両手の鎖を手放して、俺の腰を両手で掴む。
あれ、これ俺、両手、動かせるんじゃ……?
次の瞬間、イムノスにぐいと腰を引き寄せられ、最奥まで突き上げられて、俺の思考は吹き飛んだ。
「――あぁあああああんんんんっっっ!!」
腹の奥がさらに強くイムノスを締め上げる。
手足の感覚が消えて、身体がガクガクと震えて止まらない。
感じまくる俺の身体を、イムノスがさらに穿つ。
「ぁああぁんんっっ! や、あ、からだ、おかしく、な……っぁぁあぁあぁああぁんんっっ!!!」
「隊長……すごいです……こんなにうねうねと……、こんなにっ、強く締め付けられたら、私……も、もう……」
イムノスが何か言ってる気がするけど、もうわからない。
ぐんと速度が上がって、快感が受け止められないほどに溢れて、俺はひたすら喘いだ。
ルス……、に、こんな、とこ、見られたく、な……っっ。
恥ずかしいと思う気持ちも、申し訳ない思いですら、全てが快感へと変わる。
――こん、なの、おかし……――っっっ。
「イきますよ、隊長、私を受け入れてくださいね……っ!」
突然、奥をこじ開けられて、その中へ熱の塊が叩きつけられる。
「ゃあぁああああっっっ――っっっ!! っっ!! っっ!!!!」
ビクビクと跳ねる身体が、止まない熱の渦を生む。
全てを溶かす熱に意識まで溶かされて、目の前が霞んでゆく。
「っっっ!! ――――っっっっ!!!!」
息、出来な…………。
声すら漏らせないほどの快感は、それを逃す術もなく俺の中で暴れ狂った。
***
レイは薬で強制的に高められたせいか、昂り過ぎた神経に耐えきれず沈黙した。
意識を失ったレイを、イムノスは休ませる事なく繰り返し穿つ。
無意識のレイが身体で返す反応や声、そういったものにあいつは興奮しているようだ。
レイを讃える言葉を並べ立てながら、あいつは失神したままのレイの内でまたイったらしい。
……もし今、自由にされたら、俺は多分あいつを殺すな。
なるべく冷静さを取り戻せるように、俺は目の前の情事から目を逸らして、自身の状態をもう一度確認した。
あいつは今レイの身体に夢中だ。今なら気付かれないだろう。
何度か衝撃をくらって分かったが、あれは痛みと同時に体の自由が奪われる。
身体中の筋肉に勝手に力が入るようで、くらってる最中に動くのはほぼ不可能だな。
だが、死ぬほどのことじゃない。
まあ、休みなく受け続ければ息が出来ずに死ぬかも知れんが、それなりに時間はかかるだろう。
これをレイに、レイだけになんとか伝えられればな……。
何かのヒントにならないかと部屋中を見回す。
誰かの古い防校の制服……。今は名前が変わって王立防衛学院だったか。
学生の頃を思い出すと、ふと、あの頃学校の敷地内でいたずら放題の烏を退治する際に、レイと決めたハンドサインを思い出す。
自身の腕は手首こそ固定されていたが、その先の手だけは自由に動かせそうだ。
問題はあのとろとろにさせられてしまったレイが、そんな昔に一度使ったきりの、俺のサインに気付くかどうか、……だな。
しかし、声や音ではイムノスに気付かれてしまうだろうし、ここはやってみるしかないか。
そう決めると、俺は仕方なくベッドへ視線を戻す。
そこではやはりまだ、俺の愛しい男が一方的に貪られていた。
***
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