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外から見た2人 ①
やあやあ皆さん、初めましてこんにちは。
僕は爽良と李樹の友達の、乙夜 という者です。
いきなりですがここで、爽良の告白までの経緯について辿っていきたいと思います。
「なあ乙夜……オレ、しようと思うんだ」
「しようって、何を?」
「告白」
「ぶっ」
いきなり投下された爆弾に、僕は飲んでいたココアを口から吹き出してしまった。
いや知ってたよ? 爽良が李樹を好きな事も、李樹が爽良を好きなのも知ってたさ。
クラスの連中は知らない人が多いだろうが、僕はこの二人と一緒にいる事が多い。注意深く見る、もしくは親しい人でないと気付かないだろうが、好きな人に対してだけのその甘やかな雰囲気は正直分かりやすかった。
「本当は怖くて、ずっとこのままでいたいけど……李樹がこれ以上誰かと付き合うより、ばっさりとフラれてしまった方が諦められるから。……協力、してくれるか?」
「もちろんだよ」
絶対、フラれる事はないと思うけどね。
むしろ爽良から告白なんてしてきたら泣いて喜ぶんじゃない?
だって女子と付き合ってるのだって、爽良の事を諦めたいからなんでしょ?
誰かと付き合って別れてを繰り返しながら、時々爽良を切なそうに見るその視線が全てを物語ってるよ?
――なんて。
両思いながらにすれ違う事の多いこの二人にため息を吐きそうになりながらも、恋のキューピッドになろうと爽良の話に耳を傾けたのだった。
李樹はクラスで、いや校内で『イケメンは誰か』と聞かれたら必ず名前が挙がるであろう程顔が整っていた。
喋るとその阿保さが露見するのだが、それが『話しやすい』と評判だ。
付き合っては別れる最低男でも、校内で一位を争う程のイケメンと付き合った事がある、その経歴欲しさに恋愛の『好き』ではないくせに告白し、大抵一か月と経たずに別れる。
でも途切れる事がないから、いつも李樹の隣には女がいた。
近い距離を許されたその女子に、爽良がどれほど嫉妬し、どれほど傷ついてきたか……。
言葉には出さないが見てれば分かる。
例えば帰り道、李樹と見知らぬ女子が腕を組んでいるのを見かけた時。
クラスに親し気に李樹を呼ぶ女子の声が響いた時。
爽良は必ず、唇を歪め俯くのだから。
李樹も李樹だ。
誰かが爽良に必要以上に近づいたら、必ず鋭い視線を送ってくる。
もちろん僕にだって容赦はない。
あれ、髪に何か付いてるよ? なんて髪に触れようものなら勢い良く視線が飛んでくる。
正直やめて欲しい、巻き込まないで欲しい。気心知れてるからって面倒な絡みをするな、というか互いに大好きだってバレバレなんだからさっさと付き合え。
と思っていたので、爽良からの言葉はいきなりだったので驚きはしたが、漸くかとも思ったのだった。
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