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爽良の奮闘⑧

「李樹……こっち、も」 「爽良……けど」 「やっぱりダメか? こんな、男の象徴に触るなんて……」 「逆に、爽良は良いのか?」 「李樹が良いなら、良い」  ズボンの上から、膨れているそれに空いている右手を導いた。  これは女には付いていないもの、男と付き合っているのだと実感させるもの。  だけど、オレはどうしたって女にはなれない。  これからも付き合いたいのなら、これは避けられない事なのだ。 「んんっ!」 「爽良、顔上げろ。口塞いでやるから」  流石に声が少し大きくなってしまい、手を噛み誤魔化したものの、李樹に体勢を戻されまた唇を塞がれる。  李樹の手はズボンのチャックを外し、パンツを少し下にズラし手を上下に動かし始めた。  自分から導いたのだが、もちろん他人からされた事なんてない。  初めての感覚に余裕がなくなり、目尻から涙が一筋流れた。 「そんなに、気持ち良いか?」 「あ、ああ……もう、ダメだ……いき、そうだっ」 「良いぞ、イっても」 「あぁっ!」  李樹があまりにも優しい声でそう言うから、容易くオレは李樹の手に出してしまった。  はぁ、はぁ、と走った後のように息を荒げ、そんなオレの目尻に浮かんだ涙を唇で掬われる。 「は、早くて、ごめん」 「それだけ良かったって事だろ? お前の乱れた姿、最高にそそられた」 「……それ、は……良い事、か?」 「当たり前だろ」 「そうか、良かった……暫く、このままでいても良いか?」 「ああ」  ポケットからティッシュを取り出した李樹は、オレの出したものをふき取る。パンツやらズボンやらを元に戻すと、オレを腕の中で抱きしめてくれた。  多幸感に包まれる。  大好きな人の腕の中ほど、安心できる場所というのはない。 「寝るなよ」 「分かってる」  言いつつ目を閉じ、オレはまた李樹の胸に耳を当てた。  それはまだドキドキと高鳴っていて……嬉しくて、ふふと笑みを漏らした。

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