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第13話

それから数時間後。千里が目を覚めた。 「お兄ちゃん……?あれ、アタシ……生きてる。嘘……」 驚いたように目を見開いた。 「うん、千里は生きてるよ。死んでないよ。遥琉が助けてくれたんだよ。ごめんね千里。全部お兄ちゃんが悪いんだ」 「お兄ちゃんは悪くないよ」 「一度ならず二度も怖い目に遭わせてしまったんだ。お兄ちゃん、兄失格だ」 「そんなことない」 千里がゆっくりと首を横に振った。 「あのね千里。お兄ちゃん、高校を中退し働くことに決めた。ふたりで誰も知らない町に行こう。あの人に見付からないようにうんと遠い町に行こう」 「遥琉お兄ちゃんに泣かれても知らないよ。お兄ちゃん、後ろ」 「後ろ?」 千里に言われ後ろを振り向いたら遥琉が立っていたから腰を抜かすくらい驚いた。 「いつからそこにいたの?」 まったく気配を感じなかった。 「いつからってさっきだ。お兄ちゃん、高校を中退し働くから、ふたりで誰も知らない町に行こうって、聞き捨てならないことが聞こえてきたんだが俺の聞き間違いか?」 彼の言葉にぎくっとした。 「図星か。俺から離れようなんて100年早い。逃げても構わないが地獄のそこまでお前を追い掛ける。そのつもりでいろ」 いつものように冗談を言ってからかっていると思ったけど、彼の眼差しは真剣そのものだった。顔付きも見惚れるくらい精悍で、憎たらしいくらい凛々しくて。彼への想いで胸がいっぱいになった。

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