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第23話

「わぁ~~美味しそう!」 千里が歓声を上げた。 「食べていいの?」 「うん。いいよ」 アップルパイをひと切れ、手掴みで口に運んだ。 「頬っぺたが落ちるくらい美味しい。アタシ、アップルパイ苦手だけど、これならいくらでも食べれる」 「そう。良かった」 ちらっと枕元のテーブルを見ると、お昼ごはんが手付かずのまま、そのまま残されていた。 「ねぇ千里、聞いて。これを作ってくれた茨木さんっていうひとが僕たちの身元引受人になってくれたんだ。海岸沿いの国道に喫茶店をオープンさせるんだって」 千里の表情がみるみるうちに暗くなっていった。 「俺の親父が優璃と千里を引き取れば、これからも間違いなく危ない目に遭う。命だって狙われる。茨木さんは三年前までヤクザだったが、足を洗い、今はごく普通の生活を送っている。家族思いの優しいひとだ。といってもすぐには信じられないと思うが……」 「お兄ちゃんは会ったんでしょう?茨木さんっていうひとに」 「会ってきたよ。会うなり、ここで働かないかって言われた。初対面なのに、どこかで会ったような、懐かしい感じがした。悪いひとには見えなかったよ」 「お兄ちゃんがそう言うならアタシ、茨木さんっていうひと信じてみる。ねぇお兄ちゃん、これ全部食べていい?昨日からなんか何も食べなくなくて、さすがにお腹空いちゃった」

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