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第27話
「橘先輩手伝うよ」
台所に立っていたら蒼生さんがアルバイトから帰ってきた。
「蒼生さんだって疲れているのに悪いよ」
「こんなの疲れたうちに入らないよ。橘先輩、何回も言ってるけど、俺のほうが年下なんだ。さんはつけなくていいよ。そのじゃがいも俺が剥くよ。手を洗ってくるから置いといて」
「うん、ありがとう」
洗面所に向かうとエプロンを付けながらすぐに戻ってきた。
千里の誕生日が再来月だと彼から聞いたのかな?千里に可愛い服をたくさんプレゼントして、遊園地に遊びに連れていくために、ファーストフード店でアルバイトをはじめた。
千里はまだ中学生だからいいよって丁寧に断ったけど、ヤル気満々の蒼生さんを止めることは出来なかった。
蒼生は変なところが頑固なんだ。彼の言ってた通りだ。
「なに笑っての?」
「ううん、なんでもない」
笑って誤魔化した。
「ピーマンが苦手な癖に、ピーマンの肉詰めが食べたいって、兄貴って面白いよね?」
「うん、そうだね」
蒼生さんとそんな会話をしていたら、
「ちょっといいか」
彼がむすっとして間に割り込んできた。
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