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第28話

「兄貴は大人しく座ってて」 「俺だけ仲間はずれなんだ。面白くない」 「あのね」 蒼生さんがやれやれとため息をついた。 「うちの台所が狭いの兄貴分かってるよね?」 「そうだっけ?」 「は?」 悪びれる様子もなくしれっとして答える遥琉。妙に噛み合わないちぐはぐなふたりの会話にこみ上げてくる笑いを必死で堪えた。 彼と蒼生さんに手伝ってもらいあっという間に夕ごはんが出来た。 「千里が退院してきたら四人で座るには狭いから新しいテーブルを買わないとな」 「そういえばホームセンターで在庫一斉処分していたよ」 「そうか、今度の休みに見て来よう。せんべいみたいな固い布団じゃなくてふわふわの新しい布団も一式用意してやんないとな」 箸で挟み持ち上げたピーマンの肉詰めをじーと見つめている彼。かれこれ一分近く食べずに見ている。 「苦手なら無理してまで食べなくてもいいよ」 「いつかは克服しなきゃならないって思ってはいたんだよ。優璃がせっかく作ってくれたんだ。頑張って食べる」 覚悟を決めたのか目を閉じて口を開ける彼。ピーマンを口のなかに入れようとしたまさにそのとき、「兄貴大変です!」どんどんと玄関のドアが激しく叩かれた。

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