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第36話
「蒼生、自分の布団で寝ろ」
「えぇ~なんで?俺だけ仲間はずれ。お兄ちゃん、ひど~い」
「お兄ちゃんって呼ぶな。背中が痒くなるんだ。それに暑苦しいから抱き付くな」
背後からぴたりと彼にしがみつく蒼生さん。
「やめろ。頬をすりすりするな。くすぐったいんだよ。俺の大事な優璃が潰れてしまうだろう」
身をくねくねと捩らせる彼。
「もしかして背中が弱いの?」
「背骨がぼこっと出ているところと、あとは項。それが兄貴の弱点。覚えておいて損はないと思うよ」
「蒼生余計なことを教えなくていいから」
ふたりは仲がいい。いつもこうしてじゃれあっている。
「千里が戻ってきたらここで寝るんだから、汚すなよ。お漏らしするなよ」
「兄貴みたいにばぶばぶじゃありませんから大丈夫です」
ふたりの交わす会話がおかしくて。笑いを堪えきれずに吹き出した。
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