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第37話
すっぽりと抱き締められ、彼の鼓動と体温を感じ、しばらく眠ることが出来ないでいたら、
「眠れないのか?」
彼が柔らかな声色で声を掛けてくれた。
「兄貴、恋する男子の気持ちを理解する努力をしたほうがいいよ。四年越しの片想いがやっと実ったのに、さっさと愛想つかれるよ」
「煩いな。黙って寝ろ」
「ドキドキして寝れません」
「は?あのな蒼生……」
彼がやれやれと深いため息をついた。
「橘先輩、俺と兄貴のことどう思ってる?怒らないから正直に教えてよ」
「あ、あの……いきなり言われても……」
「蒼生、優璃を困らせるな」
「すごく仲が良くて羨ましい。喧嘩もほとんどしないし、双子みたい」
思ったことを正直に伝えた。
「蒼生と俺は実の兄弟じゃない」
「え?」
一瞬自分の耳を疑った。何かの聞き間違いじゃないか、おそるおそる顔を上げた。
「ごめんな。そりゃあビックリするよな。でも、優璃にだけは……大切なきみには嘘をつきたくないから、ちゃんと包み隠さず話したい。聞いてくれるか?」
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