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第38話

龍一家は、昇龍会という東日本最大の暴力団組織の直参の組なんだ。僕がちんぷんかんぷんにならないように彼と蒼生さんが分かりやすく話してくれた。 「五代目組長、秦《はた》蒼甫《そうすけ》が俺の父親だ。父だと思ったことは今の今まで一度もないけど」 「三大色男という有名人が昇龍会いる」 「三大……色男?」 「女好きで酒好きで喧嘩好き。いつも若い女を侍らせて、人の目も憚らず真っ昼間からイチャイチャしている」 「俺たちの親父は薬物が嫌いだから使わないが、他のふたりは使用している。キメセクっていうんだって」 「キメセク?」 「俺たちみたいな子どもは知らなくていい」 「遥琉のお父さんと秦さんと、あとは?」 「昆が子守りをしている縣《あがた》龍成《りょうせい》の父親、縣《あがた》遼禅《りょうぜん》だ。俺は父親みたくならない。ひとりの人だけをずっと愛して、死ぬまでその人と添い遂げる、愛妻家になる。そう決意した」 「橘先輩、俺も兄貴と同じ。誰もが羨む愛妻家になるんだ」

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