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第40話
「服を汚しちゃうから、着替えてくる」
「汚れたら汚れただ。お腹が空きすぎてお腹と背中がくっつくって言ってただろう」
立ち上がろうとした千里を彼が止めた。
「好き嫌いせず野菜もちゃんと食べような」
「うん、分かった」
「せっかく箸の持ち方が直ったのに。もとに戻っている。いいか、千里。正しい箸の持ち方は……」
「ごほん」甲斐甲斐しく千里の世話を焼く彼に昆さんがわざと咳払いをした。
「兄貴」目で何かを訴えた。
「俺の優璃は妹に嫉妬するほど器は小さくない。今、正しい箸の持ち方を覚えないと千里が一生苦労することになる」
「ふぅ~~ん」
昆さんがテーブルに頬杖をつき意味深な笑みを浮かべた。
「肘を付かないんだ。行儀が悪いぞ」
「兄貴、恋する男の気持ちを少しは学んだほうがいい」
「……」
まさか蒼生さんと似たようなことを言われるとは思っていなかったみたいでしばらくの間固まっていた。
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