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第42話
「ねぇお兄ちゃん、なにこの布団ふかふかだよ。それにすっごくあったかい。全然冷たくないよ。やだ、もう、寝れない」
千里は大興奮だった。
「お兄ちゃんも千里みたく嬉しくて興奮してなかなか寝れなかったんだよ」
「お兄ちゃんの場合、新しい布団に興奮してじゃなくて、遥琉お兄ちゃんが隣にいたから興奮して、でしょう」
「違うから」
「へぇー、本当にそうなの?」
「だから、あの、その」
千里の容赦ない突っ込みにたじたじになっていると、
「千里、きみもお兄ちゃんも俺が責任持って幸せにする。だから、お兄ちゃんをお嫁さんにもらってもいいか?」
彼がいきなりそんなことを言い出したから額から冷や汗がふきだした。
「うん。お兄ちゃんのこと宜しくね」
「任せておけ」
「僕、男だよ。嫁とか、あの……は、遥琉」
むぎゅ、と背中を抱き締められた。
「そこ、イチャイチャしない」
「仕方ないだろう。四年越しの初恋が実り、両想いになって、千里も退院してきて、嬉しいことばかりだ」
「千里ちゃん、反対するならいまだよ」
彼の隣の布団に横臥していた蒼生さんがむくっと上体を起こした。
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