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第45話
「7月7日に生まれた人は心優しく感受性豊かで涙もろいだって。誕生花はアベリア、スイレン、クチナシで、誕生石はラピスラズリとルビーで、バースディカラーがブルー……」
「ちょっと待って遥琉」
まさかそんなことまで調べているとは思わなかったら驚いた。
「図書館で調べたんだ。誕生日もいろんな意味があってなかなか面白いよな。ちなみに俺は元旦生まれだ。日付が変わる5分前に生まれたらしい」
彼が握っているほうの手を高く掲げた。
がさがさしててささくれだらけ。あかぎれだらけの手を見られるのが恥ずかしくて引っ込めようとしたら、
「みんなのために日々頑張ってくれている。俺はきみの手が好きだ。勿論、優璃きみ自身も大好きだ」
にっこりと優しく微笑んでくれた。
でもその直後、何かに気付いた彼の表情がみるみるうちに険しくなっていった。
彼の視線の先に、道を塞ぐようにして黒塗りの大きな車が停められていた。
「優璃、走るぞ。なにがあっても離すなよ」
くるっと背を向けると、手を握ったまま走り出した。
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