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第47話
週末だけここでアルバイトさせてもらうことになった。ファミレスのアルバイトは辞めた。あの人たちがしょっちゃうファミレスに来て、僕の給料から天引きしてくれと、無銭飲食を繰り返したり、店で暴れたりと、やりたい放題でしまいには警察沙汰になり、これ以上アルバイト先に迷惑を掛ける訳にもいかず辞めるしかなくなってしまった。でも後悔はしていない。
茨木さんが何かに気付き、窓の外をチラッと見た。
さっきまでは誰もいなかったのに、ガラの悪そうな男たちが煙草をふかしながら、少し離れたところでこちらをちらちらと見ていた。
「優璃と千里は関係ないだろう」
彼が鋭い目付きで男たちを睨み付けた。
「あ、そうだ。遥琉」
茨木さんがカウンターの上に透明のビニール袋に入った黒い財布を置いた。
「駐車場に落ちていたってお客さんが届けてくれたんだ。ついでに交番に届けてくれ」
「分かりました」
中身がヤバイものだったら真っ先に疑われるからと、指紋がつかないようにゴム手袋を嵌めて受け取りそのままビニール袋に入れたと茨木さんが補足説明をしていた。
ヤバイものといったらドラックだ。彼が教えてくれた。
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